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婚約破棄したら
広臣さんとはもう会えない。
カフェに連れて行ってもらうことも、
おいしいものを食べさせてもらうことも、
ご実家のお庭を見せていただくことも
できなくなる。
広臣さんに援助してもらって自立できたら
登坂邸ではなくても綺麗なお庭を見に行ったり、
自分ひとりでカフェに行って
おいしいものを食べたり
できるようにはなるだろう。
でもそこに、広臣さんはいない。
それを淋しいと思ってしまって、
慌ててそれを打ち消した。
隆二さんは登坂邸の中ほどで私を降ろし、
「帰りはまた迎えに来るね」と言って
車内に戻った。
走り去る社用車を見送っていると、
邸宅の中から出てきた富貴子さんが
笑顔で出迎えてくれる。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ、お嬢様。
大旦那様がお待ちかねですよ。
今日はもう朝からそわそわしていらして。
お嬢様にお会いできるのを
とても楽しみになさってたんです」
「ありがとうございます。
私もすごく楽しみでした。
広臣さんはお仕事なのに、
図々しくもお邪魔してしまってすみません」
「いえいえ、
いつでもいらっしゃっていいんですよ。
お嬢様なら大歓迎です」
そう言いながら
富貴子さんはテラスまで案内してくれた。
いつもはお祖父様がのんびり座って
お庭を眺めていらっしゃるそこには
作業着姿の人たちがいて、
お祖父様も立って何やら指示をなさっている。
「ああ、その球根は混ぜないでくれ。
植え付けの時、孫の嫁にいろいろ教えてやらんと」
「その孫の嫁ってーのはほんとに来んのかよ？
最近のわけーもんは
やれスマホだゲームだなんつって
全然庭仕事なんぞしやしねぇ」
「それはお前のとこの孫の話だろう」
日焼けした老齢の男性とそう話していたお祖父様が
ふとこちらに気づき、表情を緩ませた。
「いらっしゃい」と優しく声をかけられて、
「お邪魔します」と頭を下げる。
「本日はお招きありがとうございます。
あの、今日はうちでプリンを作ってきたんです。
お口に合えばいいのですが」
そう言って保冷バッグを差し出すと、
お祖父様はうれしそうにそれを受け取ってくれた。
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なつめ(プロフ) - omikoさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます♪また更新がんばります！ (2019年10月17日 18時) (
レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 譲さん» ややこしいミスしてしまってすみません！そうなんです、腹黒なのは事実ですが実はいいお兄ちゃんだったんです笑 母親はひどいですよね(>_<)でもその分岩ちゃんが愛情を注いでくれました(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - mikkyさん» コメントありがとうございます♪せっかくの溺愛ぶりを飛ばしていてすみません……！ちゃんと載せることができてよかったです(>_<) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ユキさん» 想像するとたまりませんね(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
omiko(プロフ) - 更新うれしいです(^^)ありがとうございます！ (2019年10月13日 16時) (レス) id: f68873c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年9月13日 23時
