この花を君に 3

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「や、もう……無理です」

「えー、しょうがないな。
じゃあ昼メシの後、
マカロン食わしてやるよ。
マンゴーと、レモンと、抹茶と、ラズベリーと、
チョコもある」



広臣さんの言葉に、
色とりどりのマカロンが
並べられている光景を想像する。

いろんな味のマカロンを
ひとりで食べることができるのだと思ったら
うれしくなって、つい顔が緩んだ。



「うわ、めっちゃいい写真撮れた。
いいよいいよー、お姫様可愛い♡」



そう言われてはっと顔を横に向けると、
カメラの画面を確認して
満足そうにしている直人さんの姿が見えた。

横からそれを覗き込んだ兄が
「ほんとだ」と目を見張る。



「結婚式に感極まって泣きそうな花嫁さんと、
それをなだめて笑わせる花婿って感じ」

「えー、見せて見せて！
うわぁ超ラブラブじゃん！」



エリーさんもカメラの中の画像を見て
はしゃいだ声をあげたけど、
私はドレスの裾とハイヒールのせいで
身軽に動けなくて、見に行きたくても行けない。

すると、広臣さんが
「直人さん、こいつにも見せてやってくださいよ」
と声をかけてくれた。



「ごめんごめん。はい、どうぞ」



こちらに来てくれた直人さんに
カメラの画面を見せてもらうと、
そこには兄の言う通りの姿があった。

泣きそうな私と、
それを愛おしげに見つめる広臣さん。

こめかみにちゅーをされている姿も、
おでこをくっつけている姿も、
泣き笑いのような表情の私を見て
楽しそうに笑う広臣さんの姿も、
まさに『ラブラブで幸せ』な感じがして
びっくりする。



「次からもこんな感じでよろしく♡
じゃあ着替えてもらおうか」



直人さんがそう言うと、
荒井さんがブーケを受け取ってくれて
ドレス担当のスタッフさんが
後ろの長い裾を持ってくれる。

式場に来た時と同じように広臣さんの腕を取り、
慎重に歩いて外へ出た。

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