この花を君に 3

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ウェディングフォトの
撮影当日は、
眩しいくらいに晴れていた。

室内のスタジオだけでなく
外でも撮影があるので、
いいお天気でよかったなぁと思いながら
迎えにきてくれた広臣さんの車に乗り込む。



「おはよ」

「……おはようございます」



広臣さんの姿を見て、今日の撮影で
『ラブラブで幸せ』なふりを
しなければならないことに思い至る。

その途端に緊張がぶり返して、
どきどきしながらシートベルトを締めた。

車を走らせ始めた広臣さんが
ちらりとこちらを見て、可笑しそうに笑う。



「またガチガチになってる。
そんな緊張すること？」

「……」

「綺麗なドレス着て
可愛く写真撮ってもらうって思っとけばいいよ。
相手が俺っていうのは微妙かもしんないけど」

「い、いえ、とんでもないです。私こそ、」



広臣さんのような見目麗しい男性と
ウェディングフォトを撮ってもらえるなんて、
本来ならありえないことだ。

逆に、広臣さんの相手が
子供の私で申し訳ないと思う。

そう言うと、広臣さんはニヤッと笑った。



「じゃあ遠慮なくちゅーしていいんだ」

「えっ、な、なぜそうなるんですか？
それは無理です」

「何でだよ。
俺のことかっこいいと思ってるってことはつまり、
ちゅーされたいってことだろ」

「全然違います！」



どんなにかっこいい人でも、
ちゅーされるのは恥ずかしすぎて無理だ。

そもそもそういうことは
好きな人同士でするものなのではないだろうか。

広臣さんと私は仮初めの婚約者なのだから、
ちゅーするのはおかしい。

必死にそう言い募る私を見て、
広臣さんはくすっと笑った。



「子供だな」

「……」

「今後もし好きな人ができたとして、
そいつにちゅーされそうになったらどうすんの。
今みたいに
いちいちぎゃーぎゃー喚いて逃げんの？」



からかうようにそう言われてむすっとしていると、
「拗ねんなよ」と
ハンドルから片手を離した広臣さんに
頭をぐりぐりされた。

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