この花を君に 3

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「あんまこっち見ないでくれる？」

「……えっ、すみません」



不躾にじろじろ見すぎて
不快にさせてしまったのだろうか。

そう思って慌てて謝ると、
「いや、こっちがごめん」と
なぜか謝り返される。



「お前のその綺麗な目で見られると
自分の汚れっぷりを自覚させられて
いたたまれないっつーか……
俺がやらかしたことで、
実際お前に迷惑かけちゃったし」

「……アマリアさんのことですか？」

「うん。お前は勘違いしてるみたいだけど、
あの女は俺のこと好きな訳じゃないよ。
ただ俺の金と肩書きがほしいだけ。
あと、無駄にプライドが高いから
1回きりで捨てられたってことを
認めたくないんだろうな、たぶん。
そういう女に手出すとか、ほんと血迷ってた」



そう言って、広臣さんは自嘲するように笑った。

その表情が痛々しくて、胸が苦しくなる。



「それだけ辛かったんですよね。
お仕事が大変で、お祖父様の期待を背負って、
でも逃げられなくて」

「……仮にそうだったとしても、
女に逃げるとかまんま親父じゃん。
あんな男と同じにだけはなりたくなかったのに」

「じゃあ、これから別の癒しを探しましょう。
お花はどうですか？
私はお花を見てるとすごく癒されます。
たくさん種類があるから
見飽きるということがないですし、
例えば同じバラでも
色の違いだとか花びらの数だとか、
トゲのつき方とか
見るポイントはたくさんあって、」



一生懸命お花の魅力をアピールしている私を見て、
広臣さんは吹き出した。

拳を口の前に当てて苦しそうに笑いながら
「ごめん、真面目に話してくれてんのに、」と
謝ってくる。

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