この花を君に 3

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それはエンパイアラインという
形のドレスで、
真っ白な他のドレスとは違って
生成り色だった。

色といい形といいナチュラルで、
だけど胸元のシャーリングと裾のひらひらが
甘さを出していて、すごく可憐で可愛らしい。



「これは……岩田様に似合いそうですね。
イメージぴったりです！」

「あ、ありがとうございます」

「せっかくなので試着してみましょうか。
もしエンパイアラインのドレスが
お気に召したのでしたら
こちらなんかも素敵ですよ」



荒井さんがいくつかドレスを手に取り、
その場にいたスタッフさんと一緒に
試着室に私を連れて行った。

言われるままに制服を脱ぐと
スタッフさんが私の胸やウェストを
メジャーで測り、
ウェディングドレスを着る時用の
下着を用意してくれる。

それは自分ではつけられない
デザインのものらしく、
恥ずかしかったけどスタッフさんに
後ろのホックを留めてもらった。

そのままドレスも着せてもらって試着室を出ると、
鏡のそばに広臣さんがいてびっくりする。



「ごめんな、待たせて。
それすげーいいじゃん」

「あ、いえ……お仕事お疲れ様です」

「ん。こっちおいで」



言われるまま鏡の前に立つと、
後ろに立った広臣さんが私の髪に触れた。

「まとめた方がいいな」と呟いて、
スタッフさんに顔を向ける。



「ゴムとかピンとかないの？」

「ございます。少々お待ちください」



そう答えたスタッフさんがヘアピンを用意すると、
それを受け取った広臣さんは
慣れた手つきで私の髪をゆるくまとめて
ピンで留めた。

どうして男性の広臣さんが
こんなことをできるのだろうと
訝しく思っていると、
顔に出ていたのか可笑しそうに笑われる。

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