この花を君に 3

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「岩田様が
アレンジメントをされると
伺っておりますが、
花材はこちらでご用意致しましょうか。
当日早めに来ていただければ、
ブーケを作っていただく場所にご案内致します」

「あの、私、
ウェディングブーケは作ったことがないのですが
大丈夫でしょうか」

「岩田様は小林流の若先生に
師事されていらっしゃるのですよね。
でしたらお好きなお花で作っていただいて
大丈夫だと思いますよ。
ドレスに合うお色の花材を用意しておきますので
ご安心ください」



花材を用意してもらえるなら
あとは組み合わせを考えるだけだから、
そんなおかしなものにはならないだろうと思って
安堵する。

すると、「何か使いたい花材はございますか？」と
尋ねられた。



「そうですね……
ブーケに向いてるかどうかは
分からないんですけど、スズランとか」



お話しした感じだと
広臣さんはきっと、綺麗で華やかなお花より
清楚で可憐なお花が好きなのだと思う。

婚約披露パーティーの日、
ガゼボで白いマリーゴールドの画像は
見てもらえたけど
その後無体な振る舞いをされたせいで
スズランは見てもらえていない。

でもきっと気に入ってくださると思って、
「広臣さんがお好きかなと思いまして」と言うと
荒井さんは目を輝かせた。



「素敵ですね！
婚約者の好きな花をブーケにしたいなんて。
社長、愛されてるなぁ」

「いえ、そんな……」

「じゃあスズランをたくさん用意しておきますね！
きっと社長も喜んでくれますよ」



ニッコリ笑ってそう言われて、
恥ずかしかったけど笑みを返す。

それから前撮りの説明が終わっても
広臣さんは来なかったので、
先にドレスを見せてもらうことになった。

ウェディングドレスの試着ができる
ブースに案内され、
ハンガーにかかっている
大量のドレスを見せてもらう。

ドレスは大まかに形が決まっているらしく、
これはAライン、これはプリンセスライン、
こっちはマーメイドライン、と説明を受けながら
見ているうちに
すごく素敵なデザインのものを見つけた。

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