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勇気を出して、
隆二さんに言われた通り
ジャケットの袖をきゅっと掴む。
広臣さんは私よりだいぶ背が高いから、
座ったままでも視線を合わせようとすると
自然に上目遣いになる。
私の振る舞いに
きょとんとした顔をしている広臣さんに
「あの、お付き合いされてる方は
いらっしゃいますか」と尋ねると、
困ったように笑われた。
「いないけど……」
「……そうですか」
袖を掴んでいた手を離し、考える。
見た目も中身も何もかも優れている広臣さんに
彼女ができないなんてことは100%ないだろうから、
今は好きな人はいないか
彼女がほしいとは思っていないのかもしれない。
ひとり暮らしをしていると聞いたし、
自分の他には誰もいない家で毎日寝ていて
淋しくないのだろうか。
どうすれば広臣さんを癒してあげられるのだろう。
そう考えても私にできることは
何も思いつかなくて、途方に暮れていると
真剣な表情を浮かべた広臣さんが
私のほっぺたに手を当てた。
「……どしたの、難しい顔して」
「あ、いえ、何でもないです……」
「何でもなくないでしょ。
なんで急に彼女いるかなんて聞いてきたの」
そう尋ねられたけど、
正直に答えたら隆二さんとの会話を
説明しなければならなくなってしまう。
内緒だと言われたのに
ぺらぺらしゃべってしまう訳にはいかない。
どう切り抜けようか考えて、
「アマリアさんは、
本当に彼女じゃないのかなって思って」と
苦し紛れに答えをひねり出すと
広臣さんは親指で
私のほっぺたをすりすりと撫でた。
「気になる?俺とあの女の関係」
「えと、その、すみません、
立ち入ったことを聞いてしまって」
「それはいいけど。
ほんとのこと言うと嫌われそうだから
言いたくないな」
俯いてため息を吐いた広臣さんの表情は
艶めいていて、大人の男の人という感じがした。
そんな人にほっぺたを触られているのが
落ち着かなくて身をよじると、
ほっぺたからあごをするりと撫でられる。
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なつめ(プロフ) - みぃー姉さん» コメントありがとうございます♪楽しく読んでいただけたのならとてもうれしいです!これからは山あり谷ありになる予定ですが最後はハッピーエンドになりますので、最後まで読んでいただければありがたいです♪ (2019年9月13日 22時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - さこさん» 私も書いていてめっちゃじれったいです笑 特に広臣さん、もっとやっちゃえよー!と思うのですが、そうできないご事情がおありなのです……これからもキュンキュンしていただけるようにがんばりますので、続きを楽しみにお待ちください♪ (2019年9月13日 22時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
みぃー姉(プロフ) - 初めまして。もう夢中になって読んじゃいました。読んでいくうちにキュンキュンがたくさんあってもう最高です。これからの展開がどんな風に主人公ちゃんと臣さんが変わっていくのか楽しみで、続きが気になりますね(*^^*) (2019年9月12日 17時) (レス) id: ec49dee706 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - こんばんは!毎回、キュンキュンします!キュンキュンするのですが、なんだかじれったい感じがするのは、私だけでしょうか?主人公ちゃん、自分の気持ちに本当に気づいてないのとか広臣さん、それ本心!?って思っちゃうけど、先が気になってたまりません(≧∇≦) (2019年9月11日 21時) (レス) id: d95e73f21b (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ユキさん» テレビでの直人さんはヘタレですが実際にはトキメキが止まりそうにないですね(^^) (2019年9月11日 19時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつめ | 作成日時:2019年7月30日 23時