4 ページ29
「今日二度寝したから
朝メシ食ってないんだよね。
いいよなぁお前は実家暮らしで。
起きてリビング行ったら
勝手に朝メシ出てくんでしょ？
ひとり暮らしだと
自分で用意しなきゃなんないからだりーよな」
そう思うなら実家で暮らすか
お手伝いさんを雇えばいいのに、と思う。
独身の広臣さんが
わざわざひとり暮らしをする理由も
よく分からないし、
私にくれるほどお金が余っているなら
家事も人にしてもらえばいいのになと思って
首を傾げていると、
私の考えなどお見通しらしい広臣さんが
「実家は息が詰まるし家に他人を入れたくない」と
ため息を吐く。
「うちは親の仲が悪すぎて空気最悪なんだよね。
父親は女遊びばっかしてるし
それにキレた母親はギャーギャー喚くし」
「……」
「おまけにじーちゃんと父親も仲悪くてさ。
じーちゃんは自分に比べて
無能な息子が気に食わないし、
父親はじーちゃんのこと老害としか思ってねーし。
お前んちのヤバさと大差ないっしょ」
うちの母親は兄に鬼婆呼ばわりされているけど、
父親は空気というか
透明人間か幽霊みたいなものだし、
親の仲が悪いのは同じだけど
どちらかというと
お互い無関心という感じがするので
そこまで殺伐とはしていない。
祖父母は私が生まれる前に亡くなっているし、
登坂家よりはひどくないと思ってしまう。
正直にそう言うと、
広臣さんは可笑しそうに笑った。
「どっちもどっちじゃね？
お前んちは母親の独裁制で、
うちはじーちゃんの独裁制」
「そうですね……」
「てかさ、俺らみたいな育ち方して
結婚したいと思う訳ないよな」
広臣さんがそう呟いたところで
「お待たせしましたー！」と声がかけられた。
カウンターの向かいから
ラーメンの丼をふたつ置かれて、
さらに濃厚なにおいが漂う。
ぽつりとこぼされた言葉が気になったけど、
広臣さんが箸を手にしたので私もそれに倣った。
「いただきます」
手を合わせて、箸で麺を少し掬う。
固い麺を口に入れた瞬間、
スープの濃厚な旨みを感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1683人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつめ(プロフ) - aggyさん» 臣くんはお姫様が可愛くて仕方ないので無意識にデレてます笑 若先生は移行してから出てくる予定です！もうちょっとお待たせしますが重要なキャラになる予定なので楽しみにしていただけるとうれしいです♪ (2019年7月20日 17時) (
レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 心愛さん» たぶんコメントいただいたことあります！隆二くんがお好きでしたよね？なのに臣くんのお話を読んでくださりありがとうございます♪途中悲しい出来事がありますが、絶対ハッピーエンドなのでご安心ください！更新がんばります♪ (2019年7月20日 17時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - 臣さんの天然たらしぶりが大好物すぎてニヤニヤしてます、あと小林の若先生楽しみです、早く出てこないかなぁ(期待)続き楽しみにしてますね！ (2019年7月19日 19時) (レス) id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
心愛(プロフ) - こんにちは。初めまして…ですかね？前にコメントさせて頂いたような…このお話、大好きです♪けど、なんだかんだで上手くいって欲しいなぁ〜なんて思っています。JKと臣さん(*^^*)なんか、よくないですか？このシチュエーションご馳走さまです！更新楽しみに待ってます (2019年7月19日 19時) (レス) id: e0a21118dc (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - あにゃさん» コメントありがとうございます♪岩ちゃん推しなのに他のお話も読んでくださったんですね！私も圧接工の隆二くん大好きです笑 このお話の岩ちゃんはお兄ちゃんですが、また出てきますので楽しみにしていただけるとうれしいです♪ (2019年7月17日 23時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なつめ
| 作成日時：2019年7月2日 22時
