【あんスタ】雨粒ポロリ (ページ3)

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雨粒2 ページ3

「おはよう凛月、真緒。」

交差点にある信号機で信号待ちしている二人に後ろから声をかけた。

赤信号になったばかりみたいで車がビュンビュンと走り出していた。

「おおっ！おはよう環。」

「おはよー。ねむいー。」

二人ともバラバラの挨拶を返してくれた。

環。
これは、私の名字だ。
すぐにでも捨てたい名字。

衣更や朔間みたいな名字に変えたいくらいに嫌いだ。

原因は父と母の離婚。

父と母は愛し合っていた。
お互いがお互いを必要としていた。

なのに、母は父に浮気をした。

父より若い男の人と一緒にいるのを私は何回か見かけていた。

母は、その男と会うときは綺麗におめかしをして顔を綻ばせて家を出ていっていた。

私はそれを見て見ぬふりしていた。

だけど、
それが悪かった。

父が母の浮気に気が付いたときには、私はこれでもかというほどアザが身体中にできていた。

それも服を着ると見えないところに。

父は私が母が浮気をしていたことを黙っていたことを知っていた。

私が知らないうちに自身でその場面を目撃していた。
それにプラスして、私が母が知らない男といる所を見ていたことも目撃していたようだ。

父の怒りは全て私に向いていて、

今でも毎日のように暴力が絶えない。

真緒と凛月には知られたくない。

だから私は必死に笑顔をつくってプロデューサーとして勉強している。

「おーいっ。環！？信号変わったぞ～？」

ぼーっとしていた私の腕をつかんで真緒が顔を除き混んでいた。

「ごめんね。ちょっと考え事してた。」

誤魔化しをきかし、握られたままの腕を気にしながら私は学校まであとちょっとの道のりを、
凛月と真緒に挟まれながらゆっくり歩いた。