特級過呪怨霊’’夏油傑’’【呪術廻戦】

第十九話 ページ26

「なんて？」


「狗巻先輩は呪言師だ。

言霊の増幅、強制の術式だからな。

安全を考慮して語彙絞ってんだよ。」


そう言うと虎杖くんは目を輝かせる。


「死ねっつったら相手死ぬってこと？最強じゃん！」


『だったら良かったのにね。』


と、純粋に心躍らせている虎杖くんに、苦笑して答える。


「そうだな。

そんな便利なもんじゃないさ。

実力差でケイスバイケースだけどな、強い言葉を使えばデカい反動がくるし、最悪自分に返ってくる…。

語彙絞るのは棘自身を守るためでもあるのさ。」


「ふーん、で先輩は何で喋れんの？」


『簡潔に言うなら突然変異。』


「人の術式をペラペラと…」


和気藹々としていると真希先輩が虎杖くんに歩み寄って手を差し伸べる。


「…んな事より悠仁、屠坐魔返せよ、悟に借りたろ。｣


「五条先生ガ…モッテルヨ…｣


いや、わかりやすいな。


目を逸らしながらごまかす虎杖くんに私は思わず笑いそうになる。


「チッ…あのバカ目隠し…！」


嘘でしょ真希先輩。


あっさり納得してしまった真希先輩に驚く。


閑話休題


虎杖くんが飛び入り参戦したので、前日に立てていた作戦を変更、若しくは
虎杖くんを元の作戦に組み込むか…。


「で、どうするよ。

団体戦形式はまぁ、予想通りとして、メンバーが増えちまった。
作戦変更か？時間ねぇぞ」


「おかか」


「そりゃ悠仁次第だろ。
何ができるんだ？」


「殴る蹴る」


「そういうの間に合ってんだよなぁ…。」


パンダ先輩が唸る。


接近戦で戦うのがパンダ先輩・真希先輩…と私が少しだけ。


たしかに近接系多すぎるかな…。


「コイツが死んでる間何してたかは知りませんが、東京校、京都校、全員呪力なしで闘り合ったら

虎杖が勝ちます。」


「面白ぇ｣


そう言い切った伏黒くんに、真希先輩の口角が上がる。


ふと、伏黒くんが虎杖くんに話しかける。


「虎杖、大丈夫か？」


「おー！なんか大役っぽいけどなんとかなんべ！」


そう言っていつもの虎杖くんのようにニコリと笑う。


「そうじゃねぇ。何かあったろ」


「？なんもねーよ。」


「…」


伏黒くんは納得がいかないといった表情で虎杖くんを見つめる。

すると虎杖くんは言いにくそうに、けれど真っ直ぐな声で話す。


「…あった、けど大丈夫なのは本当だよ。

むしろそのおかげで誰にも負けたくねーんだわ。」


「…ならいい。

俺も、割と負けたくない。」

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