俺だけを見てて。【短編集】 (ページ6)

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つづき

*

『おはよう周平くん、すき！』

今日はどう返そうか。

どんな最低な言葉がいいかな。

どうしたら俺を嫌いになってくれる？

毎日のように好きって言われたら俺やって意識するし、好きになる。

なんなら俺はもう、Aが好きだ。

けど俺じゃダメなんだ。

だから、だから。

「俺、処女無理やねん。」

最低な言葉をAに吐いた。

Aはびっくりしたような表情で、『そっか！』と言った。

『コンビニ行ってくるね！今日も試合頑張ってね！』

「……おん。」

本当にこれでよかったのか、

そう考えながら球場へ向かって、試合をした。

試合が終わり家に帰ると、それでも

Aはいつものように俺の帰りを待っていた。

『おかえり！』

あんなことを言われてもなお、俺が好きなんや。

「ただいま。」

『あのね、周平くん、』

「…どうしたん？」

『もう、処女じゃないよ。私のこと好きになってくれる？』

「…は？」

理解できなかった。

どうしてそこまでして、俺を好きでいるんだよ。

『…ぇ、周平くん、泣いてるの…？大丈夫？』

「っ、ごめん…ごめんな、Aッ…」

ごめん。俺のせいだ。

汚してごめん。

『泣かないで、周平くん。』

『ごめんなさい、私はきっとこれからも、』

『周平くんを好きでいるよ。』

罪悪感と幸福感にまみれた俺は、

吐きそうになりながら、涙を溢した。