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さて、特に部活にも入っていない私は時間を持て余した。いろいろ頼まれる監督生とは違って、魔力がないけれどポムフィオーレ寮生として普通に過ごす私は暇で暇でしょうがない。ラギー先輩は部活で忙しいし、忙しくなくても簡単に会いに来ました!とかできる訳もないし。
今日も私室でお勉強コースかな。それか寮長のお手伝い。
学園長と先生達を除いて、唯一私が女の子と知っているのはポムフィオーレ寮長ヴィルさんだけだ。さすがに誰かと同室になる訳にも行かず、寮長のお手伝いをする条件として個室を借りている。
「寮長、何か、お手伝い、ありますか、っと」
メッセージを飛ばしてから5分もせず作業場と一言だけ返事が来た。仕事場に行けばいいのか。
条件の事もあって、私の部屋の鏡と寮長の作業場の鏡を繋げてもらっている。いやはや魔法って超便利。
__________
「ちょっと!ヘアケアサボったでしょ」
「ちゃんと頂いてるオイル塗ってます!!」
「なら食生活ね、もっと見直さなきゃ」
「寮長厳しすぎる……」
「仕事中はヴィルさん」
「……はい、ヴィルさん」
ヴィルさんのお手伝いは荷物持ちとかと思っていた。だけど蓋を開けてみればネックレスをしないそのままの私の見た目をヴィルさんは痛く気に入り、近々発表予定のヴィルさんの個人ブランドの専属モデルとして私を起用した。160センチもない私をモデルにするのってどうなのよとも思ったけれどヴィルさん曰く、美しければ問題ないらしい。
衣装もメイクもヘアセットも終われば地獄の照明タイムだ。照らされる明かりが熱いのなんのって。他のモデルさん達は魔法でどうにかするらしいけどそんなもの持ち合わせていないから気合いでどうにかする。
でも、ありのままの自分で居られるこの時間は好きだ。魔法が実際にある世界で魔力がない私に魔法の時間をくれるのだから。自分自身で居られる夢の魔法。
イエローとブルーのコントラストが美しいワンピースを着てカメラを見つめる。
真っ白な肌と漆黒の髪は美しさを輝かせる。
どんな衣装にも真っ赤なルージュは欠かさない。それはスノウプリンセスたるあなたの証とヴィルさんは言った。
大丈夫、私は、私という女の子はここにいる。
誰に知られなくても、いつ消えてしまうかも分からなくとも、ここに確かに存在しているのだ。
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作者名:Ruu | 作成日時:2020年9月26日 19時