23話 優しさの修業 ページ24
走りながらキルアとの会話からトリックタワーでのヒソカとイルミとの会話を思い出していた。
『2人の言うことは理解できるんだけど…』
トリップなんてまるで小説のようだ。
余りに非現実的すぎて夢以上に夢のような話だ。
私はもともといない存在。
『せめてこちら側に来る直前の記憶があればいいんだけど。電車で寝る前なら夢である確率は高そうだし』
もうすっかり夕暮れ時だ。
『暗くなる前に戻ろう』
「よく迷わず帰ってこれたな」
『目印になる場所を走ってたからね』
Aは、ふわぁ…と大きなあくびをする。
「寝れば?」
『キルアこそ寝たほうがいいよ』
「俺、Aが走ってるときに寝たしあと3日は寝なくてもいけるぜ」
『ええ!?…でも』
「うるせーから早く寝ろ」
『じゃあお言葉に甘えて、おやすみ』
次の日キルアに叩き起こされ、組手の練習をすると言われた。
『練習に付き合ってくれるの?でも私もう誰にも迷惑はかけたくないの』
「ちげーし。俺の練習に付き合えってことだよ」
日暮れまでずっと練習したけどどう考えても基礎だ。
私のために付き合ってくれている。
ならせめて、これから迷惑が掛からないように少しでも戦えるようになりたい。
試験残り時間1日をきった。
あの後もキルアはいろいろ教えてくれた。
「ま、これだけ覚えれば一般人にしたら上等じゃねえの?お前、力ねえから持ち前の素早さでどれだけやれるかが重要だな。…割といい線いってるぜ。素早さだけならレオリオは越えてる」
『キルアのおかげだよ!』
「昔から鍛えられたからな…いろいろと…」
キルアの目は少し影って見える。
寂しそうな顔にいたたまれなくなる。
キルアは暗殺一家に生まれ、きっと私たちが知らない壮絶な世界で生きてきたんだろう。
『大丈夫。キルアは私と違って必要としてくれる人がいる。』
「私と違ってってなんで…」
『それより次は何する?』
「もう行けよ」
『え?』
「クラピカとレオリオ?のところ。今からスタート地点近くに行けば会えると思うぜ」
キルアの意見では
6点分プレートを集めた人はゴール地点に近い場所で様子を見たくなるのが心理。
もし2人が集めきれてなかったら、クラピカがこのことに気付き、向かうだろう。
ということだ。
「このプレートも返す。不合格になったら許さないからな」
『ありがと!行ってくるね!』
「なんで俺は他人のためにあんなことしてんだよ」
手を振るAを見送りながらキルアは呟いた。
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あめしょ(プロフ) - ねこさん» カルトちゃん可愛いですよね!カルトちゃんはツンツンしてるけど案外デレが多いイメージです (2018年2月28日 19時) (レス) id: f77fb73667 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - カルトちゃんかわいい! (2018年2月28日 16時) (レス) id: e15058c5ad (このIDを非表示/違反報告)
あめしょ(プロフ) - オレンジさん» うわああありがとうございます!励みになります! (2018年2月22日 20時) (レス) id: f77fb73667 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ - 主人公のイラストとっても可愛かったです!更新頑張ってください!! (2018年2月22日 20時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
あめしょ(プロフ) - ねこさん» そうなんですよ…。できる限り頑張って更新しますね! (2018年1月30日 22時) (レス) id: f77fb73667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わふう | 作成日時:2018年1月26日 4時