贋街の子供たち【文豪ストレイドッグス】 (ページ9)

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ふと、目が覚めた。いつの間にか寝ていた。
家まで帰ったのすら覚えていない、気がついたら家の中の机に寝ていた。
毛布がかけてある。
誰かが、ここまで運んでくれたのかな。

今何時か確かめる前に家の電気を点けた。
時計の文字が露わになる。
5時57分。
夕方なのかよく分からない。
カーテンは締め切っている。朝日がどうしても苦手だからカーテンを開けたことは数えられるくらいしかない。
私は特に何も考えず外に出た。

それは夕方だった。
ふらふらと、街を歩き続ける。ただ歩く私の姿は屍、ゾンビ、食屍鬼、どれにも当てはまりそうだ。
ふと、橋の上に来た頃意識がハッキリする。
「おちたら、どれくらい楽なのかな。」と呟いた。
どこまで流れていくんだろう。
川はどろりどろりと真っ黒だった。ぐわっと吸い込まれそう。
でもおちたところで何もないことはわかっていた。
そう思い、橋を離れる。

異能力と云われるものを久し振りに使ってビルを登った。壁に少し傷がついたかもしれない。
ビルの上に座り、ただ街を見る。見下す。
ありとあらゆる明かりが目に入る。
おちるところまでおちたら楽なのかもしれない。
この中に、私に気がついている人は何人居るのだろう。きっと、誰もいない。
気持ちが堕ちてゆく。

ふと、太宰さんに着いてきたことを後悔しているかと言う疑問が心に浮かぶ。
太宰さんに着いてきた、というより連れてこられた方がいいのかもしれない。
離小島のような疑問だった。
後悔はしていない。
後悔は。
後悔はしていないなら、なんでこんな虚無なのかわからない。私には一生解けそうもない。

6年も世界を長く見てる2人に挟まれ、2人からどうするか問われた。
2人は好きにするといい、と云っていた。

そこで私は答えを出せなかった。

だから、どうせならと連れて来られた。
嫌な気分ではなかった。其処で何をしても上手くいかなかったから。
でも今探偵社という所に来ても、何も上手くいかない。
どうすればいいのだろうか。

いつも、街の明かりのようにはっきりとした答えが出せない。