ヴ ァ ン パ イ ア 【zh】【弐j酸j】

拾伍 ページ16

葛葉side

Aの家に入るまでに考えてしまった。


もしかしたらAは俺と一生いたいなんて望んでいないかもしれない


もしかしたら俺のことを本気で愛してなんかいないんじゃないか


考えれば考えるほど思考はマイナスな方面へ引っ張られてしまった


Aの部屋に入って、律儀に俺の分スペースを開けて眠るAが可愛くて仕方なかった


正直こんなかわいいやつ、吸血鬼界にもなかなかいないんだから人間界で手を出されないはずが無い。


あぁまただ。さっきまでの不安が一気に押し寄せてくる


Aは俺がいることに気がついたのか、ベットから起き上がり、こちらに振り返った


驚いたような顔で「どうしたの？」と問いかけるAに、何も返せなかった



その後の質問もあまり頭に入ってこなくて


気づいたらAに


”好き？”


なんて聞いてしまっていた


気づいた頃には遅かった。もう口をついて出てしまっていた。


あまりにもダサすぎる…


女々しすぎる自分の質問に嫌気がした


Aは当たり前かのように、俺の欲しかった答えをくれた。


長年一緒に暮らしてきた勘だけど、この表情のAは嘘をついていないと思う。


もう1つ、1番気になっていた質問をした。


”なにがあったか知らないけど、私は一生葛葉が好きだよ。”


あぁやっぱり俺にはお前しかいねぇわ。


そう直ぐに言い切ってくれるところも、真っ直ぐ俺の目を見て言うところも、全部好きだわ


気づいた頃には、俺は膝からベットに崩れ落ちて、Aを抱きしめていた。

拾陸→←拾肆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す