4話 ページ8
自分に似合いそうな黒色以外の服を探していた時、今度は別の女子高生の声が聞こえてきた。
「ねぇ蘭、この服なんてどうよ！」
「わ、いいじゃない。似合ってる似合ってる！」
私の見ているコーナーを一つ挟んだ奥にある試着室の方向から聞こえてきている。
声だけで姿は確認できないが、多分蘭姉ちゃんと園子だと思われる。
なんかエンカウント率高くない？！と思いながらも、「まぁ二人に疑われることはないでしょ。」と特に気にせず服を選んでレジで会計を進めていると、「わー、さっきのお姉さんだぁ！」と、わざとらしく言いながら近づいてくる声に固まる。
恐る恐る振り返ると、先ほどドリンクコーナーで会ったコナン君がいた。
「…え？」
「ねぇねぇ、さっき一緒にいた男の人はどうしたの？」
「え、な、急になんだい？コ…ッここにはいないよ？？」
動揺してコナン君と言いかけるがギリギリとどめる。
「というか、店の前の椅子で待ってるはずだけど…会わなかったかな。」
「ううん、いなかったよ？」
「え」
コナン君の言葉に、伊東さんがいるはずの方向を目を向けると、彼と彼に任せた荷物はどこかに消えていた。
あの人本読んで待ってるって自分で言わなかったか、どこに消えたんだ。
「お姉さん大丈夫？」
「ごめんね、また後でね」と言って会計を済ませた商品を掴んでその場を去ろうとする。
「僕も一緒に探すよ！」
トコトコとついてくるコナン君の方を振り向き、腰を低くして目線を合わせてから「大丈夫」と言えば「え〜でも、困ってる人放っておけないよ！」と言いながらついて来ようとする。
私何かそんな疑われることした！？と疑問に思いながらも「大丈夫だってば…」とコナン君に返すが、中々引き下がらない。
どうしたものか。と悩んでいると「あれ？ コナン君？」と蘭姉ちゃんであろう声が聞こえてきた。
「なにしてるの、こんなところで。他の子たちは？」
「ゲームコーナーに行ってる！ さっき見たお姉さんがいたから、つい気になって声かけちゃった、僕に用があるのかなって。」
「え、どこでかな。覚えてないんだけど…」
「デパート1階の飲み物売り場だよ。お姉さん、去り際にこっち見たじゃん。嘘は良くないと思うな。」
若干ガチトーンになったコナン君に思わず無言になる私だった。
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作者名：雨森 | 作成日時：2024年2月18日 19時
