オリジナルブレンド ページ1
カウンターに置かれたコーヒー
スラリとした指で
ソーサーの上のスプーンを手に取ると
チェスの駒でも動かすように
カップの向こう側へと置く
奇麗に切り揃えられた爪に
思わず目がいく
カップの持ち手に軽く触れ
時計の針を戻すように
くるりと回されると
流れるように持ち手に指を差し入れる
口元までゆっくりカップが持ち上げられ
と同時に両まぶたが閉じられる
彼のまつ毛はこんなにも
艷やかで豊かだったのかと
初めて気付く
いれたてのコーヒーの香りが
彼の中へと吸い込まれていく
それと同時に開かれた瞳は
キラリと輝き
右の広角を小さく上げた
大事な人にそっと口づけるように
カップに唇を押しあて
その芳醇な香りとともに
口の中に大事そうに流し込む
そして雅紀は驚いたように
智を見つめた
「さとちゃん
すんごく美味しいよ このコーヒー」
「───え？」
ほんの数秒だったが
雅紀のその所作に見惚れていた智は
何を言われたのか一瞬理解できなかった
雅紀は智のそんな様子には
構う事なく話し続ける
「ねぇニノちゃん豆変えたの？
前のオリジナルブレンドも
美味しかったけど
何ていうのかなぁ………
コクというか深みが増したよね……」
「いや相葉さん
豆は変えてないのよ
いれ方が少々変わったの
そのぉ……
じいちゃんに教わったんだ」
和也が少し照れくさそうに
でも嬉しそうに
仕込みの手を休めることなく
告げた
あれから何度か和也の祖父達は
カフェ風を訪れ
その度に二人に
コーヒーのいれ方や
メニューのアイディアなど
アドバイスをしてもらっている
いれ方だけでこんなにも変わるものかと
感心仕切の雅紀の横で
同じようにほほうと感心する潤と
今ひとつ前との違いはわからないが
相変わらず美味いとうなずく翔
和也が妹達と再会を果たし
数日立った頃
開店前のカフェ風には
久しぶりの顔ぶれがあった
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43(プロフ) - 大変お待たせして申し訳ありませんでした。見捨てることなくページを開いてくださった皆様、ありがとうございました。亀更新が続きますが、完結目指してカーソルはノロノロと進んでいっております。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。よろしくお願い致します。 (2021年5月12日 21時) (
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作者名：43 | 作成日時：2021年5月12日 21時
