10. ページ12
.
次の日、学校に行ってもどことなく大毅とは気まずかった。
大毅は何も悪くないよ？
私が勝手に避けてるだけ。
本当はたくさん話したいのに、たくさん一緒にいたいのに、素直になれない自分が悔しい。
そんなこと思ってたら、まだ胸がギュッて痛くなるの。
これは病気のせい？気持ちのせい？
分かんないけど、こんな時にいつも大丈夫か？って近くにいてくれたのは大毅だった。
.
「なぁ、A、」
ホームルーム終わり、それでも大毅はいつもみたいに迎えに来てくれた。
一緒に帰ろうって言いたげなのに、その目はなんとなく悲しそうに見えた。
「しんどいんやったら、荷物持つし......」
「ううん、大丈夫。......でも、ごめん。今日もお兄ちゃん迎えに来てくれるから、」
「ああ、そうなん、......じゃあそれまで一緒におる」
私が一人になろうと話を持っていっても、大毅は頑なに一緒にいようとしてくれた。
こんな私なんて見放せばいいのに......
お兄ちゃんを待ってる間は、本当に無言だった。
私が落ち込んでる時でもいつもうるさい大毅なのに、今回ばかりはかなり気遣われてる気がする。
気まずい空気の中、口を開いたのは大毅だった。
「A...... あのさ、」
「ん、なに？」
「俺、その...... なんかマズいことしたかな？」
「えっ.......？」
「あっ、いや、最近元気ないからさ......」
「あぁ...... ごめん、」
「謝らんでええねんっ、けど、なんかお前、いつもとちゃうから...... 体調以外に、何かあるんかなって、」
一番私のいつも通りを知ってるからこそ、そんなふうに言ってくれる大毅。
でもそこまで気付いてくれるのに、私が大毅を好きな気持ちだけはなぜか気付いてくれないの。
「ほんとに、大丈夫だから......。ちょっと体調悪いだけ。だから、気にしないで？」
そう言った時、大毅の顔は見られなかった。
だって大毅の顔を見るだけで、あの女の子の顔が浮かんで苦しくなるから。
それでも優しく背中をさすってくれる大毅の手が温かくて、もう何もかも全部吐き出しそうになる。
ねぇ、大毅。どうしてそんなに優しくするの？
私、こんなにも大毅のことが好きなんだよ？って。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 696人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーぽん(プロフ) - ピンクよりの虹色ジャス民さん» こんにちは！前作も見ていただいたんですか？ファンはめちゃくちゃ嬉しいです...... よりよい作品が書けるように頑張りますので、よろしくお願いします◎ (2019年11月29日 21時) (
レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - 神楽さん» こんにちは！本当ですか？ありがとうございます...... 確かに似ているところもあるかもしれませんが、自信を持って自分の作品だと言えます。なので、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。本当にありがとうございます。 (2019年11月29日 21時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - あいのすけさん» はじめまして！いつもありがとうございます。その温かいお言葉、本当に励まされます...... これからも楽しんでいただける作品が書けるように頑張りますので、よろしくお願いします◎ (2019年11月29日 21時) (レス) id: 009673d39a (このIDを非表示/違反報告)
ピンクよりの虹色ジャス民(プロフ) - 前作でファンになりました。WESTの作品は全部読ませて頂いてます。私はすごく好きな作品で、これからもめげずに続けて欲しいです。上からですみません。頑張ってください！ (2019年11月29日 19時) (レス) id: 16f1571cc1 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - こんにちは！いつも本当に楽しみにしています。私も下の方がコメントしている作品も読みましたが、決して真似しているとは思いません。みーぽんさんらしく頑張ってください。本当に応援しています！ (2019年11月29日 18時) (レス) id: f6c349c01f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：望穂
| 作成日時：2019年11月27日 11時
