君色の明日がきっと来る〔赤〕*

09. ページ11

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気づいたら寝ちゃってて、起きた時にはお兄ちゃんが迎えに来てくれてた。








「A、大丈夫か？おとんもおかんも仕事やから、兄ちゃんでごめんな」

「ううん、大丈夫、」

「中間さん、お大事にやで？」

「はい。ありがとうございました」








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お兄ちゃんは優しい。昔からずっと。




今も私の荷物全部持ってくれて、なんなら家までおぶろうか？って言ってくれたけどさすがに恥ずかしすぎて断った。








ごめんね、お兄ちゃん。本当はそんな心配されるほどしんどいわけでもないのに......








でもちょっとだけ甘えたくて、帰り道お兄ちゃんの手を握ったら何も言わずに引っ張ってくれた。




大毅ともこんな風に歩けたらいいのに、なんてバカなこと考えながら。








「ほんまに病院行かんでええ？無理してない？」

「うん、ほんとに大丈夫、ごめんね......」

「そっか。なんかしんどいことあったら言ってな？頼んないけど、話ぐらいなら聞くから」








そんなこと言いながら頭なでられて、優しくされて。




そしたら大毅のこと、ポロっと言いそうになる。








男の子って、なに考えてるの？




私は大毅のこと好きでいない方がいいのかな？








なんて、




絶対迷惑だからやめたけどね。








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その日は何かから逃げるみたいに、家に帰ってからもずっと寝た。




お父さんもお母さんも心配そうにしてたけど、なんとなく一人になりたくて寝たフリまでした。








たかが恋愛のことで、こんなに苦しくなるんだね。




でもそれだけ大毅のことが好きなんだなって。








毎日毎日募っていく想いと、自分が思うより強い大毅への恋心はどんどん隠せなくなっていく。








なのに、一度上手く回らなくなった歯車を元に戻すのはなかなか大変なんだってことに気付くのはもう少し先の話。




この時の自分は、まだまだ甘えすぎてた。








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