６０話 ページ14
「よっこらっせ！ っと……」
私は石段をかけ上ると、わかちゃんがいつも寝ている場所を見た。
いた。
わかちゃんは、いつもどおり、顔を漫画で隠しながら、寝ている。
睡眠の邪魔しちゃ悪いな……と思い、わかちゃんの隣にそっと座った。
さーっと風が流れる。
ここは影があるから涼しくて、気持ちい風が来る。
こんなところにいたら、心地よくって眠ってしまうのもわかる。
もう、なにもしたくなくなる。
神秘的な影に見とれていると、わかちゃんがむくっと起きてきた。
予想以上に起きるのがはやい。
私は少しドキドキしながら、わかちゃんが見つけてくれるのを待った。
「A？」
「うん、Aちゃんだよ。かわいいかわいい神様的存在、ジーザスとは私のこと。
Aちゃんだよ」
「はいはい。じーざーす」
「どうも」
「んで、暇なのですか、Aどん」
「いいえ、暇ではありません。私は急用があるのです。そこで、唐突ですが」
「はい」
心臓がどくどくする。
今にも吐きだしてしまいそう。
顔が火照る。
口から言葉が出てくるのを怖がってる。
もう、いいよ。
言ってしまいなさい。全部。
「私、あなたのこと好きなんだけど、あなたは私のことどう思ってる？」
言ってしまった。
こんなに心臓がバクバクしたことはない。
頭がおかしくなってしまいそうだ。
逃げたい。
私はそれだけ言い終えると、神社を飛びだし、
その場から、走り去った。
でも、不思議と、後悔もなく、ただ胸の内は
すかっとしていた。
もう、どうにでもなってしまえ。
そう思えた。
後ろから足音が聞こえる。
わかちゃんが追いかけてきているようだ。
「お、おい！ ちょ、まてよ！ A！」
「誰のものマネしてんの！ 馬鹿みたい」
こんなときにアイドルのものマネできるわかちゃんが憎らしい。
私がこんなにドキドキしているのに。
私は足を止めた。
「ちがっ……これはモノマネじゃねえよ。はぁ……っ」
「はぁっ……、っでなに、を言おうとしてるの？ わかちゃんは」
私がそういうと、わかちゃんは急に私を抱きしめた。
「え」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨雨(プロフ) - 蛍烏賊さん» 蛍烏賊さん、ありがとうございます！完結しましたー♪そんなこと言ってもらえてうれしかったです！新作もモブっぽい子が主人公なので、頑張ります！蛍烏賊さんの小説もいつも楽しく読ませていただいてます！応援してます！お互い頑張りましょー(*￣0￣)/ オゥッ!! (2016年4月18日 19時) (
レス) id: 6bc06e16a6 (このIDを非表示/違反報告)
蛍烏賊(プロフ) - 完結おめでとうございます！何度も読み返したくなるような素敵な作品でした。モブ的存在が主人公の小説だったのですごく世界に入り込めて読んでいて楽しかったです。新作も楽しみにしてます、頑張ってくださいね！ (2016年4月18日 16時) (レス) id: 0c9cd69501 (このIDを非表示/違反報告)
雨雨(プロフ) - ラベンダー畑さん» 初めまして！ラベンダー畑さん！コメントありがとうございます<(_ _)>読んでいただけて、光栄です！確かに主人公ちゃん、冴えてるかもしれません(笑)私も格好いい彼氏が欲しいです。これからも更新頑張りますので、よろしくおねがいします！ (2016年3月30日 7時) (レス) id: 6bc06e16a6 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 初めまして うーんわかちゃんは 一体誰が好きなんだろう？そして何故来なくなったんだろう？すごーく気になります！ 題名は冴えないと書いてあるけど 主人公 カッコいい元カレがいたし 冴えてる？んじゃないの？続きが楽しみです♪ (2016年3月29日 20時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
雨雨(プロフ) - *綾辻*さん» *綾辻*さん、ありがとうございます！コメントいただけて、光栄です！更新頑張りますね！ (2016年3月29日 7時) (レス) id: 6bc06e16a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨雨 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amenochiame1/
作成日時：2016年3月28日 14時
