彼女の水槽 ページ44
憧れと、焦燥、眠気と、拒絶。
記録されていた夢。
誰もいないはずの病棟に、
白いシーツの上で眠れない貴方が笑っていた。
死の匂いがした、彼女の白い肌にキスをして、
さようならの代わりに、歌を歌った。
「私が愛した人はみんな死んでいく。
あの日から、呪いに罹ったようで、」
彼女が泣きながら私に告げたその嘘みたいな話が、
嘘じゃないと僕は身をもって知った。
君は僕を愛した。
彼女が眠りについた途端、彼女を包む水彩が広がって、やがて僕を包み込んだ。
とても優しい世界に吸い込まれたようで、僕は幸せだった。
きっと彼女が僕を呑みこんでしまったのだと、なんとなく理解できた。
「君はまた、寂しそうな顔をして、塞ぎこんでしまうだろうか」
「君が愛した人は死んでなんかいない。
君の中で、静かに、幸せを甘受して、溺れているんだよ」
そう、手紙に書き遺した。
彼女がこの手紙を手に取って、救われることを願いながら、
僕は静かに筆を下した。
きっともうじき、溶かされてしまう。
そう感じながら、ただ、淡い水彩に溺れた。
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雨雨(プロフ) - 紫稲さん» 有難うございます_(_^_)_ これからも頑張ります_(:3 」∠)_ (2017年4月28日 18時) (レス) id: 677be9c404 (このIDを非表示/違反報告)
紫稲(プロフ) - 占ツクでこのようなことをしている人がいるとは!これからは応援させていただきますね! (2017年4月27日 21時) (レス) id: 9e828e304c (このIDを非表示/違反報告)
雨雨(プロフ) - 三日月 時雨さん» 時雨さん、有難うございます…<(_ _)>私、時雨さんの作品がとても好きでコメントいただけて驚いております!尊敬なんて…恐縮です_(._.)_私も時雨さんの作品、楽しみにしています……! (2017年4月2日 19時) (レス) id: 677be9c404 (このIDを非表示/違反報告)
三日月 時雨(プロフ) - 初めまして。随分前にこの作品を見つけて、ピアプロで「空中分解」を聴かせていただいたものです。やっとまた見つけられてとても嬉しいです。私も、憧れて作詞を始めたので作者様を尊敬しています。素敵な詞、楽しみにしています。 (2017年4月2日 14時) (レス) id: 82d346e66d (このIDを非表示/違反報告)
公星(プロフ) - 雨雨さん» 見てくださってありがとうございます!! 尊敬だなんて!そんなすごい詞は書いてないですよ(苦笑) 嬉しいです、ありがとうございます! (2016年6月11日 21時) (レス) id: 571d3d6f59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雨 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amenochiame1/
作成日時:2015年12月27日 21時