永遠の証明を、 (ページ3)

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独り言ページ3

「もう、嫌いです」
「そっか」
「……はい」

私と先輩の別れはあっけないものだった。

嫌いだといえば、少しは残念がって後ろ髪引かれるだろうと思っていたのに、
先輩は表情一つ変えずに「そっか」と一言いっただけだった。

私に対する執着心も何一つない、淡泊な答えだった。

この頃、もう前みたいに沢山話さなくなっていた。先輩が私に向ける好意もなくなっていた。
もう別れたほうがいいと思い、先輩に別れを告げた。
結果的に別れることができたし、
これでよかったはずだ。

でも、私の心の中はなんとなく、靄が残っていた。

冷たい風が頬を刺す。はやく帰って眠りにつきたいと思った。
でも、家に帰っても誰もいない。
きっと今、そのまま帰ったら誰もいない世界に一人取り残されたみたいにな気持ちになるだろう。今、冷たい空間で孤独を感じるのは耐えきれないと思った。

「先輩、に連絡しよ……あ」

電話をかけようとすると、もう私の連絡先から先輩は消えていた。
そうだった。昨日、全部終わらせようと思って消したんだった。

「誰でもいい、か」

私は連絡先にのっている人に適当に電話をかけた。

「……あ、もしもし、あのね、ちょっと暇でさぁ」
『そうなん？てかそっちから電話かけてくるの珍しいやん。音信不通で寂しかったで』
「あはは、ごめんね」

帰り道、私は昔よく話していたネットの男の人と通話をした。
何分か話していたけれども、依然、からっぽの心は満たされないままだった。
この人は大切な人じゃない。

「誰でもよくなんて、なかった……」
『え？なに？』
「あ、ごめん、独り言よく言うの。なんでもないよ。あ、もう家につくからまたね」

電話を切った。

アパートの錆びれたドアを開ける。

「ただいま」

誰もいない部屋に声をかけるのは癖だった。

「あ、ひとりだ」

「わたし、ひとりだ」

「ひとりって、なんだかこわいなぁ」

「先輩、なにしてるかな。わたしのこと考えてくれないかな」

「……ててほしいな」

「いまさら、なにいってんのかなぁ」

独り言は本当に癖だった。
私は一人言葉を連ねていた。
返答もないまま、一人をこれ以上ないほど感じた。

「好き、だったなぁ……」
「だったら、終わらせなければ、よかったじゃない」

涙が零れ落ちて、ベットに寝ころんだ。

まどろみに連れていかれて、目覚めたら、
記憶が都合よく消えてしまえばいいのに。

心の底からそう思った。