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ただそれだけならまだ何とも思わなかったのに。


でも君からそいつの残した痕跡を見つけてしまうことが俺の中に矛盾を呼んだ。






「……ちゃんと眠れてる?」






俺が何よりも君に与えてあげたい貴重な睡眠。

それを削ってでも、するような行為があるのだろうか。


それは別に男女の行為に関わらず、家事であったり、会話であったり。



俺の知らない、いわゆる別人格の君がそこには存在する。




これまで見守る余裕しか感じさせてこなかった、"彼氏"という存在が、主張を見せたことで、

落ち着いた俺の精神を、男の部分を、挑発するかのように搔き乱す。








「…眠れて、ます」


「……そっか」




仮にプライベートで仕事に支障を来したとしてもそれがどうだと言うのだろうか。

これだけ私情を持ち込んでしまった俺はもう君にまともな指導をすることが出来ない。









「…………やめたい」




気付けば自分でも怠そうと分かるくらいの低いトーンで口にしていた。




こんな感情口にしたのも、頭をよぎったのも、久々過ぎてよく分からない。


最後にこのストレスを抱いたのも、

確かあまり覚えていないけどクッションになってくれたのも、今隣にいる君だったよなと思う。









「…展示会、ですか?」


「……」



こうやって俺の顔色を伺うのが誰よりも得意だったよねとあの頃を思い出す。









「……そっか、じゃあようやく私の出番だ、

代わります、何でもします!」






普段は大人しいくせに、

俺が暗くなれば君は明るくなる。






まるで闇に浮かぶ月のようだ。









それはまさに、あの日俺が見た光景。





薄い月明かりに素肌を照らされた君は、和室に敷かれた白布団の上、俺に組み敷かれながら呼吸を乱していた。


その姿に俺は初めて心臓が止まりそうという抑えきれない衝動を覚えた。


それがきっと、誘拐とは違うまともなやり方で俺が君を抱いたピーク。


数多く君を汚してきたけれど、あの日の君はそんなことを俺に感じさせないくらい、とにかく輝いていた。






美しく切なく光る月が好きだ。

押し付けがましく闇を押しのけては蝕む太陽の何倍も。

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美紀(プロフ) - 毎話、すごくドキドキしながら読ませていただいています!この作品の5が読めないのですが、どうしたら読めるようになりますか?どうしても読みたいです!これからも応援しています! (2019年2月4日 1時) (レス) id: 574ea515dc (このIDを非表示/違反報告)
名無し33431号(プロフ) - いつも楽しみにしてます!頑張ってください!リクエストなんですが、川島如恵留くんとの先輩後輩物の長編が読みたいです。作者様の作品が好きなのぜひ読みたです! (2018年6月4日 0時) (レス) id: 70d27b43b7 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 更新嬉しいです!この小説が今一番好きで更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 1be2ad1a32 (このIDを非表示/違反報告)
るるぽんぬ(プロフ) - 面白くて大好きです!もう何度も読み返してます〜!更新頑張ってください応援してます!! (2018年3月21日 17時) (レス) id: 7038e95e66 (このIDを非表示/違反報告)
- これから長妻くんとどうなるのか続きが気になります!更新頑張ってください! (2018年2月13日 16時) (レス) id: 5917ef0eb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年10月28日 0時

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