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じわりじわりと、
休日に二人きりというこの空間が、
私の心臓をおかしくさせた。
無事帰れるのかと不安にすらなった。
紫耀には言わずにここへ来た。
一昨日から出張でいないのだ。
今日帰ってもいない。
明日もいない。
先輩にそれを言うつもりはないけれど。
「………Aのこと連れてきたい所があって」
信号のタイミングでそう言った先輩は、目的地は明かさないものの、慣れたように細長い一本道を運転していった。
とある広めの駐車場で停車した。
「ついてきて」
トランクから何かを取り出し、先輩は私にも声をかけた。
ガチャ、
遠隔で車にロックがかかる。
その後は打ち合わせやセールスでも、常に一歩後ろから先輩を追う。
だけど今日はその時と、同じような気分ではいられることが出来なかった。
私服の力は改めて凄いのだと思った。
先輩のスラッと伸びた長い脚は、濃紺のデニムを軽く履きこなしていた。
車内では着ていなかったテーラードジャケットをさらりと羽織り、
いつの間につけたのか、メンソールを掻き消す爽やかな香りがし、
目眩がしないよう3メートルの距離を空けた。
「遠すぎ」
振り向きもせずに怒られた。
仕方なくまたすぐ後ろまで戻ると、普段とは違うスタイリング剤の匂いがした。
それが仕事中は身に纏わない、まるでデートのような装いだとしたら、全てが、役割を果たしてしまっている。
「……その服綺麗だね」
横並びになると、至ってシンプルなネイビーのカットソーを、先輩は褒めてくれた。
「大人っぽくて凄く好きだよ」
流されやすい自分が出た。
先輩が口にした、好きだという台詞は、たとえ洋服に向けたものであったとしても、
過去の自分がどれだけ憧れても得られない特別なものであった。
心臓を通り越し、その中心にある心が、訳が分からないことになった。
先輩の横を進めば、どこに連れてこられたのか、それは一目瞭然だった。
ジャリ、ジャリ、と足元で石が鳴る。
蛇口で水を汲んだ先輩は、普段は私に何も持たせようとしないのに、今日だけは、そのきっと大切なはずの紙袋を、預けるように私に手渡してきた。
「……御墓参りしてもいい？」
目の前に着いてから、先輩は私に確認をした。
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美紀(プロフ) - 毎話、すごくドキドキしながら読ませていただいています！この作品の5が読めないのですが、どうしたら読めるようになりますか？どうしても読みたいです！これからも応援しています！ (2019年2月4日 1時) (
レス) id: 574ea515dc (このIDを非表示/違反報告)
名無し33431号(プロフ) - いつも楽しみにしてます！頑張ってください！リクエストなんですが、川島如恵留くんとの先輩後輩物の長編が読みたいです。作者様の作品が好きなのぜひ読みたです！ (2018年6月4日 0時) (レス) id: 70d27b43b7 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 更新嬉しいです！この小説が今一番好きで更新いつも楽しみにしてます！これからも頑張ってください！ (2018年4月6日 16時) (レス) id: 1be2ad1a32 (このIDを非表示/違反報告)
るるぽんぬ(プロフ) - 面白くて大好きです！もう何度も読み返してます〜！更新頑張ってください応援してます！！ (2018年3月21日 17時) (レス) id: 7038e95e66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - これから長妻くんとどうなるのか続きが気になります！更新頑張ってください！ (2018年2月13日 16時) (レス) id: 5917ef0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2017年10月28日 0時
