169 ページ25
何とか家の駐車場に到着し、それぞれの歩幅で玄関へと向かう。
見慣れた後ろ姿。
ポストに入った俺とA、それぞれに宛てられた郵便物に、不思議な感覚がした。
どこか遠慮がちなAに、せめて家ではゆっくりして欲しくて、
俺は奥の部屋に一人篭って、携帯をいじっていた。
仕事の事を考えれば、俺はまともを装えるから。
フラットな感覚で過去のやり取りをスクロール。
"長妻 怜央"
改めてその名前に触れた瞬間、
得体の知れない感情が込み上げた。
『怜央くん、』
そう何度も口にした、学生だった頃のAを思い出す。
お膳立てして再会させてやった、自らの馬鹿さ加減に腹が立った。
それと同時に、あれだけ好きだった人と何ヶ月も前に再会していたのにも関わらず、未だに俺と付き合ってくれているAの心境。
そこが想像つかなくて、心が乱れた。
「………紫耀、」
遠慮がちにノックされた。
躊躇うこともなく慎重にドアを開けた。
「…………カレーとシチュー、
……どっちが良い？」
「………」
目に映ってるんはいつものAやった。
ほんの少し、控えめやけど。
俺を精一杯見上げる、昔みたいなあどけなさすら纏っていた。
「……カレー」
俺の言葉に、コクッと小さく頷いた。
「………なぁ、」
その背中を後ろから呼び止めた。
「……人参、小ちゃくしてな？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2666人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀(プロフ) - 毎話、すごくドキドキしながら読ませていただいています！この作品の5が読めないのですが、どうしたら読めるようになりますか？どうしても読みたいです！これからも応援しています！ (2019年2月4日 1時) (
レス) id: 574ea515dc (このIDを非表示/違反報告)
名無し33431号(プロフ) - いつも楽しみにしてます！頑張ってください！リクエストなんですが、川島如恵留くんとの先輩後輩物の長編が読みたいです。作者様の作品が好きなのぜひ読みたです！ (2018年6月4日 0時) (レス) id: 70d27b43b7 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 更新嬉しいです！この小説が今一番好きで更新いつも楽しみにしてます！これからも頑張ってください！ (2018年4月6日 16時) (レス) id: 1be2ad1a32 (このIDを非表示/違反報告)
るるぽんぬ(プロフ) - 面白くて大好きです！もう何度も読み返してます〜！更新頑張ってください応援してます！！ (2018年3月21日 17時) (レス) id: 7038e95e66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - これから長妻くんとどうなるのか続きが気になります！更新頑張ってください！ (2018年2月13日 16時) (レス) id: 5917ef0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2017年10月28日 0時
