雨に濡れた日 4

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最終リレー。


アンカーまでは割と接戦だった。



よその会社が一位を走っていた中、2番目にバトンを受け取った長妻先輩が、ぐんぐん追い付く位置へと距離を縮めた。



紫耀は遅れて、4番目にバトンを受け取った。




そのスピードは誰よりも速く、あっという間に、3番目の選手を追い越した。




そして、長妻先輩の後ろへとぴったりくっついた。






その二人だけが一位を狙える、そんな状況まで、前との距離は縮まっていた。



他の選手は半周、アンカーだけは一周。



長妻先輩はどうやらスタミナを残していた。





ぐんぐんスピードを上げ、その長い脚でトラックを蹴ると、圧倒的スピードだった紫耀を数10センチずつ、着実に突き放していった。



紫耀は懸命に蹴るも、その差を広げず、保つことでいっぱいいっぱいの様子。






果たしてその冷めたような表情は、何を思っているんだろう。


長妻先輩の背中を捉える、クールなままの視線とは裏腹に、紫耀が普段見せたことのないような本気が、力強い走りから感じられる。






っ、




周囲がガッツポーズをしたことで、ようやく私も気付く。


長妻先輩は、爽やかに一位を抜き去り、


優勝の座を勝ち取っていた。







紫耀はそのわずか1メートル後ろを、

最後の一歩、転ぶようにしてゴールへと雪崩れ込んだ。









ずっと見ていたから分かる。



足首を押さえているその仕草。




怪我をしたのかも知れないと。

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