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「………………ん、」
目を覚ましたら、見慣れない光景。
ここどこ…………?
.
ガチャ、
扉が開いた瞬間、
「……………っ、」
息を呑んだ。
.
「廉くん!?」
現れたその人の名を呼べば、
「ほんっまに迷惑な女やな、」
開口一番説教を浴びせられた。
ビクッて身体を震わすと、
一気に襲い掛かる疲労感。
あのまま、気を失って運ばれたんだ……。
「お前俺がおらんかったら、ったく……」
「……ごめんなさい」
久々の再会とはいえ、適切な挨拶どころではない。
クタッと力の抜けた身体を起こし、
「ここってもしかして……、」
お決まりのフレーズで尋ねると、
見下ろしてくる懐かしい姿は、ゆっくりもう一歩近付いてから言った。
「俺んち。
でも言っとくけど指一本触ってへんからな」
端的な答えを受領する。
「…………」
現状を咀嚼しながら、
「で、おまえ紫耀とようやく別れたん?」
「……なんで、」
「紫耀の名前、公園いた時から呼んでたから」
「………」
「ごめん、ごめんってひたすら謝ってた」
「…………それは、」
スマホを取り出した廉くんは、
「で、どっち?俺はどっちに掛けたらええ?」
「……え、」
「紫耀かながつ。
どっちを呼べば良いか、それが知りたいんやけど」
「…………」
廉くんの提示した二択は、まさに私が早々に解決すべきお題であった。
今の私には、どうにも重い難題だけれど。
"どっちも呼べない"
今はそう答えるしかない。
自業自得で紫耀には捨てられ、縋ることなど不可能であるし、
紫耀に捨てられたからといって、長妻先輩に縋りに行けるほど、単純ではないのだ。
紫耀への気持ちが、残っているうちは。
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美紀(プロフ) - 毎話、すごくドキドキしながら読ませていただいています!この作品の5が読めないのですが、どうしたら読めるようになりますか?どうしても読みたいです!これからも応援しています! (2019年2月4日 1時) (レス) id: 574ea515dc (このIDを非表示/違反報告)
名無し33431号(プロフ) - いつも楽しみにしてます!頑張ってください!リクエストなんですが、川島如恵留くんとの先輩後輩物の長編が読みたいです。作者様の作品が好きなのぜひ読みたです! (2018年6月4日 0時) (レス) id: 70d27b43b7 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 更新嬉しいです!この小説が今一番好きで更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 1be2ad1a32 (このIDを非表示/違反報告)
るるぽんぬ(プロフ) - 面白くて大好きです!もう何度も読み返してます〜!更新頑張ってください応援してます!! (2018年3月21日 17時) (レス) id: 7038e95e66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - これから長妻くんとどうなるのか続きが気になります!更新頑張ってください! (2018年2月13日 16時) (レス) id: 5917ef0eb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年10月28日 0時