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「Aさん、今から西急百貨店さん行くから着いてきて」
「っ、はい！」
他の上司との打ち合わせを終え、オフィスに戻ってきた私を見つけるなり、長妻先輩は立ち上がった。
その熱心な指導振りを見て、他の先輩たちは頼もしそうな顔をしている。
「長妻はたまに抜けてるけど、やる時やる男だからな。
今この部署で一番抱えてる売場が多くて大変だろうけど、しっかりついていけよ」
「はい！」
そんな先輩とのやり取りをしている私を待つ様子もなく、長妻先輩は先にオフィスの入口に立ち、ホワイトボードと向き合う。
時計を見ながら戻り時間を計算し、
"西急百貨店→セールス 20:00"
と慣れた字で記入。
私も慌てて自分の欄に記入しようとすると、
既に同じ字で
"長妻 同行 20:00"
と書かれていた。
「行くよ、」
「…はい、」
「二人だし、荷物もあるから大きいのにしようか」
社用車のキーを選び直す姿を横から見つめる。
…全ての行動が速い。
「……あ、倉庫からサンプル持ってくから先行ってて」
「私も運びます、」
「いいからエンジンかけといて」
車の鍵だけ預かり、先に駐車場へと向かう。
まだ外は日差しの暖かいお昼。
20時までここには戻らないのか…
ぼんやりそんなことを考えながら運転席で待つと、
正面からダンボールを抱えた長妻先輩が現れた。
すかさず車から降り、後ろのトランクを開ける。
「…さんきゅ、」
積み終わったのを確認し、私がトランクを閉めると、
先輩は既に慣れたようにカバンを後部座席に置き、運転席に座っていた。
「私、運転します……」
後輩だし、そう告げると、
「……ううん。俺が運転する」
ようやく目が合い、3秒くらい見つめられる。
「…寄り道するかも知んないからさ、隣で資料だけ見といてよ」
「分かりました」
「あと、名刺持った？」
「大丈夫です」
「なら行こう？」
シートベルトで心ごと引き締めた感覚のまま出発した。
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なずな(プロフ) - とても面白い作品だと思います。更新待ってます！ (2017年10月19日 17時) (
レス) id: 05a55ce506 (このIDを非表示/違反報告)
まき - 面白くて文章力もあって一気に読んでしまいました。それから毎日読んでます。何回読んでも素敵な世界観で。更新を楽しみにしてます！お願いします！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 2353cb313a (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - とても面白くて、続きがとても気になります。これからもがんばってください！ (2017年8月20日 20時) (レス) id: a3bf426d55 (このIDを非表示/違反報告)
きょ(プロフ) - 更新ありがとうございます。とても面白くて楽しみにしています。がんばってください。 (2017年7月27日 23時) (レス) id: cfc1303549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2017年6月2日 12時
