124 ページ27
……
カチ、カチ、
紫耀がお風呂に入る間、持ってきたパソコンで卒論を書く。
大きめな足音で、戻ってきたのが分かる。
尚も画面を見つめる。
「……集中してて、可愛いな」
紫耀の片手が顔に触れた。
「っ…」
固まった私を、タオルを頭に乗せたまま見下ろす。
「…もう、ほんとに集中してるんだから」
顔に触れた手を払うと、
そのまま頰をつままれ、
「そーやって怒らんの」
あやすみたいにくしゃっと笑うから。
「……子供扱い、やめてよ。
……紫耀と対等でいれる彼女に、なりたいのに」
俯きそっと呟いた。
すると。
「……なんやねん、
俺の気持ちも知らんくせに」
紫耀はゆっくりと頰をつまんだ手を、私の頭にそっと乗せた。
それは、さっきと違ってあやすような動作ではない。
「……どんどん、綺麗になってく」
「…」
形を確かめるように髪を撫でられ、
「見た目もやけど、
考え方も、内心俺より全然大人やし、
…いつも不安やなって思うんは…」
前髪をくしゃ、と掴まれ、
「どっか捕まえとかないと、スッといなくなってしまいそうなとこ」
見下された目を、見つめ上げると
「…その目は俺だけに見せて?」
真剣な眼差しのまま、紫耀に優しく包まれた。
…このまま、紫耀は私を甘えさせてくれる。
きっとそれは間違いないのだと、ますます大きくなった紫耀の器に浸かっていく心地がした。
「……ねぇ、紫耀の匂い、好き」
「…なんもつけてへんで」
「…うん。
でもなんか、安心する」
「……、」
そっと触れるようにおでこにキスされた。
1816人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なずな(プロフ) - とても面白い作品だと思います。更新待ってます! (2017年10月19日 17時) (レス) id: 05a55ce506 (このIDを非表示/違反報告)
まき - 面白くて文章力もあって一気に読んでしまいました。それから毎日読んでます。何回読んでも素敵な世界観で。更新を楽しみにしてます!お願いします! (2017年10月11日 23時) (レス) id: 2353cb313a (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - とても面白くて、続きがとても気になります。これからもがんばってください! (2017年8月20日 20時) (レス) id: a3bf426d55 (このIDを非表示/違反報告)
きょ(プロフ) - 更新ありがとうございます。とても面白くて楽しみにしています。がんばってください。 (2017年7月27日 23時) (レス) id: cfc1303549 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年6月2日 12時