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真っ直ぐ見つめてくるのは、
大好きな、その瞳。
「…ダメって言われても、キスくらいはするけどね。」
チュ、
と音がしたかと思えば、
素早く、一瞬だけ唇が触れた。
「……、」
…ファーストキス。
その現実に、先輩の顔を見つめ
ぼーっと何も浮かばない。
「…おいで。」
微笑まれ、
手を取られ、
恋人繋ぎでゆっくりと引っ張られ、
…、
気づいたら雨は止んでいた。
「部室、行くんですか?」
つい、口から溢れた。
「ううん、
あんな汚いところで抱かないよ。
彼女みたいに可愛がってあげるって言ったでしょ?」
「…、」
そのまま、
拒むことを忘れた私は、
先輩と外の道へと歩いて行った。
どこ行くんだろう、
その答えを求めながら、外を並んで歩く。
憧れの先輩に手を繋がれ、
周囲に目撃され、
恥ずかしいけど、
ちょっとだけ幸福感。
誰からの視線を浴びても平気そうな先輩。
だけど、
「今から行くとこ、俺が連れてったって内緒だよ。」
二人きりになって意味深に笑った。
「…どこ、行くんですか?」
私が聞いた頃には、
「…到着。」
長妻、と表札の書かれたマンションの一室。
おそらく先輩の家。
「俺あんまりプライベートは人に干渉されたくなくて、
家に人呼ぶの初めてなんだよね、だから。」
もう今の私にとっては
その言葉が本当でも嘘でも、
多分どっちでもいい。
「…入ってもいいんですか?」
「うん、君は特別かな。」
先輩は優しく笑った。
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年1月19日 0時