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「ねぇ。」
廉くんと別れた後、一年の教室に戻ろうと、廊下に出た私を呼び止めたのは、
怜央先輩だった。
「…お久しぶりです。」
先輩は、見下ろすように正面に立っていた。
こんな近くから見るのは久しぶりだけど、やっぱりかっこいいと思ってしまう。
この人がやっぱり好き、そう感じる。
「廉くんと付き合うの?」
「…廉くん?」
「うん。」
「そういう関係じゃ、」
「それじゃ、遊び相手になって満たしてあげるの?廉くんを。」
「…、」
久々に私と会話してくれた先輩は、
ちょっとだけ、冷たい瞳をしていた。
「Aちゃん。」
「…なんで、名前。」
「…。」
そのまま何も言わないかと
思いきや、
「…君、女優だね。」
吐き捨てるように先輩は言った。
「嘘つくの、上手いね、
初めてってのも、嘘だった?」
「え…、」
「好きでもないのに、今度は廉のところ行くんだ。
抱いてくれれば誰でもいいんだね、
Aちゃんって、男に抱かれるために生きてんの?」
「っ、」
「ま、俺には興味ないけど。」
先輩の冷たい瞳、
去り際の靴の音、
目も、耳も、
塞ぎたくなるくらい、
前を向けなかった。
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年1月19日 0時