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gr「私、グルッペン・フューラーは貴殿との婚約を解消することを此処に宣言する」
…婚約解消って宣言するもんなのかなぁ。
自分達が主人公だとでも言わんばかりに胸を張る彼等を囲うように立つ野次に混じって私もその様子を少し遠くから眺めていた。
この後、どうなるかは知っている。
悪女が断罪され、首を落とされるその時にもし次の人生があれば慎ましやかに生きると誓う。
そして時は入学前まで戻され、悪女は今度はヒロインとして成長していく。
そんな、物語なのだ。
その物語に、しかもモブキャラとして入り込んでしまった私の心境は如何にも複雑なものであった。
どう足掻いても主役になれなさそうな微妙に複雑なこのポジションに喜ぶべきか悲しむべきか…。
gr「____よって貴様を断罪する‼」
如何やら思考に耽っている間に話は進んでいたらしく、騎士らしき人等が悪女を押さえつける。
この後、此奴等は此処が学校だと言うにも関わらずその場で彼女の首を落とす。
なんとも狂っている。あくまでただの一般人に、人の首が落ちる瞬間を見せないで欲しいものだ。
キラリ、と振り上げられる刃に映る眩しいシャンデリアをぼうっと眺める。
時が戻ったら、私の記憶はあるのだろうか…?
…あってもなくても、モブキャラの私には関係なし、か…。
ボトッと、首が落ちる生々しい音がした。其方に視線を向けると、ダラダラと床に流れる鮮血と、充血した目が開いたままの生首が転がっていた。
…見なければよかった、あまりにも生々しい。
時すでに遅しだが、それ以上見続けていても気分が悪くなる気がして眼を逸らす。
悲鳴もちらほらと上がっていた。
そろそろかな、と辺りを見渡した時、薄透明の青い光が溢れ出した。
あぁ、そろそろ始まるんだなぁ、“時間の巻き戻し”が。
会場にはどよめきや悲鳴が大きく響き渡り、普段余裕そうな表情を常に保っている、あのグルッペン・フューラーでさえ困惑した表情を浮かべていた。
そんな中、私1人だけが冷静に手に持っているグラスを近くのテーブルに置いて、覚悟を決めていた。
いつでも来い。目をゆっくりと閉じて、腕組みをした状態で立っていた。
次第に地面が揺れ始め、様々な場所から皿やグラスが割れる音が聞こえる。
グラスを置いといて、正解だったな。
そう思って一分経ったか経ってないか。不意に私の意識は途切れた。
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なな - この話面白くてすきです! (2021年7月19日 9時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
なな - こ (2021年7月19日 9時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
タラコ - すみません。42話のところの『''和食''は存在しないけど、、、』のところ和食と日本食逆になってると思います! (2021年2月23日 9時) (レス) id: d000e7e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃい - モモさん» 有難う御座います!本当だ、急に話がとんでしまってますね…ご指摘有難う御座います!更新コツコツ頑張らせていただきます。 (2021年1月24日 9時) (レス) id: d7c3fd666c (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - めっっちゃ好きです…!36話から42話になってますよ!更新頑張ってください!! (2021年1月23日 9時) (レス) id: 822858a868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むっちゃい | 作成日時:2021年1月8日 16時