ヒーロー【ut】 ページ3
おお、懐かしい。
まさか大掃除中にアルバムを見つけるとは思ってなかったのでついつい読みふけってしまった。
これは多分幼稚園の頃かな。お、これは小学生。芋掘りに、入学式と･･･運動会だこれ。
ペラペラ捲ってると川で遊んでたり、野良犬に追われてる写真なんかもある。
改めて見ていると周りの人の小さい頃の顔がめちゃくちゃ幼くて可愛らしい。天使だ。
これは･･･中学のだろうか。以外と少ない。まぁ可愛げも消えてきてるし別に気になるものは･･･
･･･あ、この写真。
『･･････二年生の時の･･･先輩の卒業式、かな』
確か私は先輩の一人が大好きで、先輩が卒業した時は大泣きしたっけ。
告白したけど空ぶって、未練がましく写真だけせがんでた。
ごめんね、って言われながら頭を撫でられて更に号泣して。
実は付き合ってたらしい同じぐらい大好きだった先輩と抱き合って泣いたりもしたかな。
そうだ、確かあの後――――
「――何泣いとんねん、」
『･･･へ、ぁ･･････うつ？･･･あー、いや別に･･･』
「嘘つけ！あーあーこんなに目真っ赤にして･･･腫れるでこれ」
鬱が珍しく気を効かせて、真っ白な、それはもうホントに白いハンカチを出してくれた。
私がぐすぐす鼻を鳴らしてる間ずっと隣に座っていてくれて、時折ハンカチで目元を拭いてくれて。
召使いかお前、って言ったらちゃうわって突っ込まれて、漸く笑顔になれたっけな。
事情を説明してる時、一切笑わずに真剣に聞いてくれて。
まぁ相談が終わったら即座に他の泣いてる女の子に媚び売りに行ったからキレたけど。
でも後から友人に聞いたら、私の話だけ一時間以上かけて聞いてくれてたらしく。
先輩の写真を未練がましく持ってるのって変かな、って後で相談した時なんて、
「別にええんやない？失恋も思い出やろ？どうしても辛くて捨てたくなったら捨てればええ」
なんて、何時もの笑顔で言ってくれて。
ずっと否定せずにちゃんと解決してくれる彼がホントにカッコ良かったと思う。
当時は全くそんなことを思わずにただの友人として接してた訳だけど。
鬱は外見もそこそこ良くて、バレンタインとかめちゃめちゃ貰ってたっけ。
甘いものそこまでだから一緒に食おうぜ、って言われて食べたら高級チョコとかあってビビったり。
高校に行っても似たようなもので、寧ろ増えたチョコにびびりながら一緒に食べてた。
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