鋏をいれたあと

合宿　おかざき ページ36

カンタside



カ「っえ！！……なんでいるのぉ〜？」


情けない声が出て荷物を持ったまま座り込む。


今日は東海オンエアとのコラボで岡崎にやってきた。てつやが銀座で変な服買って、お金足りなくてトミーが貸した４０万。せっかくかえってきたその４０万で、あろうことかトミーは肉を買った。

その肉を手に、いまてつやの家に来たところ、だったんだけど。


なんでAがいんの……



『いらっしゃい！』


めっちゃ笑顔だし！
Aの家じゃないでしょ！



カ「ちょ、え、なん、うそでしょ、」



なんて言っていいかわかんなくてどもる。心臓がやばい、破裂しそう。



カ「ちょ、待って苦しい」



胸を押さえてうつむくと、心配したAがそばに寄ってくる。



『え、ほんと大丈夫？びっくりしちゃった？』


カ「……説明してもらうからね」



寄ってきたAを下から睨みつけて、低い声を出す。ひるんだAの手首をつかんで立ち上がると、そのままてつやの家のリビングへ向かった。



ト「A、ドンマイ」


後ろで静かに見てたトミーが、青ざめたAの肩をポン！と叩いて追い越していく。



て「あれ？Aどした？」


リビングに入って荷物を下ろして挨拶すると、めざといてつやに、気付かれる。Aがなにか言おうとする前に、大きな声で久しぶり、って言って雑談し始める。


調理器具や段取り、大体のスケジュールを話して、東海からも控え室の動画撮影の話が出たり。けっこう真剣に話して、ふとAに目をやると、としみつと話してて、距離が近いしふたりともなんか笑顔だし、思わずため息が出た。



て「あー、そういうこと？」



ト「うん」



カ「……なんでAがいるの」

ため息の口のまま、もそもそとしゃべると、てつやが笑った。

て「水溜りから連絡きて、この日に撮影するよー、ってとしみつに話したらA呼びたくない？って言いだして、まあこうですよ」



カ「つか仕事、」


て「休み取ったってー、今日は半休、明日は丸一日」


カ「……だれか駅までA迎えに行ってくれたの？」



て「うん、としみつ」



カ「……あーそう」


髪の毛をぐしゃぐしゃといじると、てつやがまた笑う。
トミーはちょっと真顔。
へーへー、ちゃんとやりますよ、撮影はね！




つづく

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