鋏をいれたあと

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カンタくんはトミーさんだけじゃなくて、後輩さんと一緒に、一軒家を借りて住み始めた。もう、二か月くらい前。
カンタくんの卒業や、わたしの春休みのバイトとかあって、なかなか会えなくて、家にはいってない。動画では、みたけど。

『そんなの、誕生日じゃなくても、行くよ？』


カ「ほんとに？でもなにか言われたりするかも。」



『全然大丈夫だよ、付き合う前、散々からかわれたし。カンタくんは、いいの？』



カ「え、俺？なんで？」



『友達に彼女紹介しないタイプかと思ってた、』



カ「あー、まあそうなんだけど、Aが家に来てくれたら、いまよりもっと一緒に過ごせるし、そうするしかないっていうか、」



照れ臭そうに頭をかいたカンタくんに、きゅんとする。


カ「みんないるけど、まあ、キスくらいなら」


『それはダメ』


カ「なんで！」


『みんないるんでしょー？』


カ「べつにいいじゃん！」



『だーめ』


カ「ねーえ！A、」


お願い、って眉を下げたカンタくんに、ちょっと近づいて、小さな声で聞いてみる。


『・・・・・キスだけで、終われる？』



カ「・・・・おわ、・・・・れない、」




両手で顔を隠して、あ゛ーーーーーっ、って言うカンタくん。自分の発言に、照れてる。



さっきまでは完璧にかっこよかったのに、急にかわいい。
ずるい、人。



そうこうしているうちに、トミーさんから着いたって連絡がきて、缶コーヒーを捨てて手を繋いで歩き出す。



『じゃあ、またね』


カ「うん、……あーあ、もうAと離れたくない、つらい」



『あはは、がんばってー』


つないだ手にぎゅ、と力を込めると、カンタくんも握り返してくれる。


カ「絶対、家来てね」




『もちろん、楽しみにしてる。』



キスはしないけど、って笑いながら言うと、俺はまだあきらめてないけどね！ってかえってきて思わず笑ってしまった。


拗ねるカンタくんの頭をなでて、バイバイした。




つづく

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