未来への花束２

７２のはなし２ ページ33

なーる。



『・・・トミーさん』



ト「カンタ帰ってきたからこれで終りね、」



にやにやしながら、トミーさんは立ち上がって、カンタくんの肩を叩いた。



カ「・・・っはー、間に合ったの、これ？」



ト「さあ、Aに聞けば？」



去っていくトミーさんから、わたしに視線がきて、困る。



『・・・・おかえり』




カ「え、怒ってない？なに、どっち！？」



困ったカンタくんが、キッチン掃除を再開するため立ち上がったわたしについてくる。



『はいはーい、掃除の邪魔でーす、』



洗剤と、キッチン用のウエットシートをもって、カンタくんを睨む。



カ「ねーえ、トミーなんて言ってた？いやでも、昔の話だよ！」



『別に怒ってないし、カンタくんがモテモテなのは今もだし。』



眉を下げて、いやちょっと待ってなんか違うそれは！って本当に困ってるみたいで、過去の女性関係知られたくないんだなあ、って。

恥ずかしいからかな？
それとも、すごく遊んでた、とか？


カ「ねえねえねえ、やだ、そんな顔しないで、A、ねーえ！」




ちょっとだけ、わたしもなんて言っていいかわかんなくなっちゃって、戸惑って、苦笑する。トミーさんに、聞きたいなんて言わなきゃよかったな、うまく消化できない。


『・・・いや、ほんと、たいしたこと聞いてないよ。だからもう、この話終わり！』



カ「・・・うそだ、」



ずい、って距離を詰められて目の前にカンタくんの顔。あごらへん。
すこしでも上を見たら、目が合っちゃうから、下ばかりのろのろと見る。



『・・・・ほんとに、・・・すごくモテた、って話しか聞いてない、』



カ「でもそれはこういう仕事だから、」



『うん、わかってるよ、・・・わたしだって彼氏いた、し』



カ「やめて」



とん、って体を押されたと思ったら、背中に壁、目の前にカンタくん。目が真っ黒で読めない、・・・・怖い。



カ「俺は昔の話、聞いたら許せない、だから聞かない。」



壁ドンされて、前髪と前髪がぶつかって、背筋がぞわぞわってしてる。カンタくんが、すこし顔を傾けてキスするような角度でただじっと、わたしの目を見つめてくる。わたしの恐怖心を見透かして、楽しんでる気が、する。
目を、そらしたら怒られそうで、・・・でもいたたまれなくなって、ふい、って顔をそむけた。






つづく

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