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カンタくんは何も言わなかった。
涙を拭うこともできないみたいで、うなだれたまま、後部座席に乗り込んだ。
ト「俺が前座るわ、A来れるんでしょ、」
ちら、ってカンタくんを見たトミーさんは荷物をもって、助手席のドアに手をかける。
『あ、はい、』
こんな状態のカンタくんを残して、立ち去ることはできない。
わたしも後部座席に乗り込むと、荷物を足元に置いて、カンタくんの様子をうかがう。体に力が入っているような、逆にだらん、と脱力しているような、不自然な姿勢で、カンタくんは動かない。
電池が、切れちゃったみたい。
キ「じゃ、いきますね」
ト「ん、よろしくー」
二人はカンタくんを気遣って、普段通りの調子で会話を始めた。
二人の会話を聞きながら、なんとなくカンタくんのほうを見ると、少し、目があった。
そっと手をのばして、投げ出された左手を触ってみる。特に拒否されることはなかったので、そのままそっと、包むみたいに触れた。
『……』
カンタくんの手が、ゆっくり動いて、手を繋いだ。
よかった、て、つなげた。
カ「……ひさしぶり」
雑音にかき消されそうなほどちいさな、ただの吐息みたいな言葉だったけど、わたしにはなぜか、はっきり聞こえてくる。
その時、わたしも涙があふれてきて、弱ってるカンタくんを守ろうとしてたわたしは、必死に我慢した。……、わたしが、しっかりしなきゃ。
でも無理だった。
わたしも死ぬほど、会いたかった。
『……、うん、…会いたかったよ』
震える声で、告げると、カンタくんのため息みたいな長い呼吸のあと、俺も、って聞こえて、こらえきれなかった涙が、頬を伝った。
カ「……A、」
また偶然会えたね。
ぎこちなく笑ったカンタくんの声が聞こえた瞬間、涙があふれて、声が漏れる。
『…っ、…』
理屈じゃなくて、ただ二人の間に、奇跡みたいなことばかり起きて。
過去の自分に伝えてあげたいって思う。
この人が、運命のひとだよ、って。
つづく
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社長室(プロフ) - りーなさん» コメントありがとうございます！楽しんでもらえて本当に嬉しいです〜あんまり期待されるとしゅんとなってしまうタチなのですが、みなさん優しく見守ってくださっていて、頑張れます！番外編、まったりになりますが、絶対やりますのでまたいらしてください〜よろしくです (2018年8月24日 23時) (
レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
りーな - 更新お疲れさまでした！とても楽しませていただきました(^^)また番外編が読めることを心待ちにしてます！ (2018年8月24日 18時) (レス) id: 45edeaae44 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 柚梨さん» コメントありがとうございます！完全に妄想のスーツ×眼鏡ですけど、いつかそういった機会があれば嬉しいですよね！誤字や脱字が多くて、お恥ずかしい限りです、読んでくださってありがとうございます(TT)これからも頑張ります〜 (2018年8月12日 9時) (レス) id: 599428703d (このIDを非表示/違反報告)
柚梨(プロフ) - 思わず眼鏡カンタくん眼鏡トミーくんの画像探しに行ってしまいました......！スーツ×眼鏡の画像は見つからなかったので私も実写化希望で...！他の作品も合わせて読ませていただいていて私の潤いの源が社長室さんです！これからも楽しみにしています！ (2018年8月11日 23時) (レス) id: 01f82f5958 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - りーなさん» コメントありがとうございます。スーツも眼鏡も好きで、定番だと思うんですけど、使わせてもらいました！実写化、どこかでしてほしいですよね……笑 これからも更新がんばりますので、暇なときにまた、覗いてやってください！嬉しいコメントありがとうございました！ (2018年8月11日 23時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2018年6月18日 22時
