学パロ２

小話 ページ47

トミーside

『とみながせんぱーい、』

カンタと付き合いだし、就職し、この家をでていったAは週末たまに遊びに来る。金曜の夜、ラフな格好をしたAがよたよたしながら水溜りハウスの階段をあがってきた。

ト「…なに？」

日常が配信されてコメントを見ていたので、目線はパソコンのまま返事をする。コイツが富永先輩って呼ぶときはロクな話じゃない。

『お寿司食べたい…おいしいお店を教えてください…できたらリーズナブルな、今からいけるとこ』

転がるようにしてソファに倒れ込んだAは、そのまま動かなくなった。


ト「なに、腹減ったの？」

『うん…』

ト「カンタあんま寿司いかないだろ」

『うん…あの人はもう虫みたい…昆虫ゼリーもおいしいっていう、きっと』

ト「たしかに」

『カニ食べたい〜〜〜』

ト「たしかにのカニだけ拾うなよ、どんだけ腹へってんだよ」


笑いながらパソコンを閉じてスマホを確認する。今から、っつーと何処かいいとこあったかな。

ト「ってかお前そんな格好で飯行けると思うなよ？」

『えーー……もう着替える気力がない…』


よほど疲れているのか覇気のないA。カジュアルっつったらまあ、聞こえはいいけど、ノーメイクだし、パジャマみてえだしなあ。連れて行こうと思った和食屋には行けそうにない。


カ「え、A？ 来たら声かけてよ」

俺らの話し声を聞きつけて、カンタが降りてくる。そのままAの頭側に座って柔らかい顔で笑った。

カ「なになに、なに話してた？」

ト「そこの娘っ子、腹ペコなんだってよ」

カ「娘っ子て。あー、そうなの、どっか行く？」

ト「寿司食いてぇらしい」

カ「えっ、寿司か…」

ト「でも着替えるのもめんどいんだってよ」

カ「そっかー、…あ、じゃあ出前は？着替えなくて済むし」

『それがいい…』

カ「わかったわかった、トミーも食う？みんないるっけ？」

ト「いまたぶん全員いる。俺は夜に炭水化物とんねえ」

カ「じゃあ茶碗蒸しでも食えば……、あー、…うん、…よし、注文した」

ト「はっや」

カ「A、お寿司来るよ、ちょっと待ってな」

『…ありがとー、せんぱい愛してる』

カ「いまここに先輩二人いんだよ！カンタくんって言って！」

『…はあ、お腹空いて喋れない』

カ「ね、もう一回！ね！」

『・・・・』


ト「残念だったな」

カ「いやたぶんお寿司きたらまた言うと思う。ってか言わせる」

ト「あ、そ」




おわり

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