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カンタside
Aはみんなの話をふんふんって大人しく聞いてて、すっと自然にまんずを見上げた。まんずの部屋に、ってことなんだろう。
ま「・・・俺やだよ」
察したまんずがきっぱり言うと、Aは悲しそうにうなだれる。うん。俺もやだよ。
ト「俺の部屋とカンタの部屋どっちがいい?」
『いやいや!そんなの悪いです、』
ト「カンタの部屋は撮影で使うから、俺の部屋来る?」
『えっ、・・・・じゃあ、端っこに布団を敷かせてもらっても、…?』
ト「うん」
話がまとまりかけて、みんなとめていた手を動かしてピザを取る。でも俺は、それができなくて。
選択肢が俺かトミーだったら、トミーなの?
カ「俺の部屋でもいいよ別に」
ぼそっと、俺がそう言うとみんなが固まる。それだけはナシでしょ、っていう空気。でも、昔からいつだってトミーばっかり。
キ「…マジでどういう関係なんすか」
状況を理解できないキイチの純粋な疑問が、リビングに木霊した。
ピザパの後撮影し、トミーは出かけて行ってAの荷物は玄関に置かれたまま。主にまんずがAにこの家のルールみたいなものと、設備の使い方を教えている。結局、Aは当分スタジオにしたあの白い部屋の隅で布団を敷いて寝ることになった。
つまり、俺の隣の部屋だ。
編集しているとたまにゴトン、ゴトン、と音がして正直気が散る。
ドン!
カ「えっ」
変な音とAの声がした気がして慌てて立ち上がる。けど扉にかけた手を、ぐ、と握ってためらった。どこまでしていいのか、異性の友達なんか数えるほどしかいないし、元カノの接し方も知らない。でも、我慢できない。
コンコン
『はーい』
カ「なんか音したけど」
『あ、ごめんなさい!』
カ「開けるよー」
『あ、ちょ、』
スタジオとして撮影用に使っている、元トミーの部屋はクローゼットがたくさんあってめっちゃ広い。その部屋の入口のすぐ右側の崩れた布団の上で、段ボールを抱えたAが転がっていた。
『すみません、…転んじゃって、』
カ「いや、…それ持つよ」
段ボールを持ち上げて床に置くと、Aが起き上がる。前髪を整えながら、照れたように笑うAは、てへへって笑ってありがとうございます、とはにかんだ。普通に可愛い。
寝不足の俺に、編集頑張ってくださいって言うAの笑顔は効いた。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます! (2019年9月23日 4時) (レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます!今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます!学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて2に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…!短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社長室 | 作成日時:2019年6月5日 11時