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カンタside
ビターン!!!
頬に衝撃がきて、漫画みたいな音がして。
まさかビンタされると思ってなくて固まる。真っ白になって。そんで。
Aはハッとした後、小走りで去っていく。その背中しか覚えてない。
ト「なんでそんなこと言ったの」
カ「…わかんない」
音を聞いて駆け付けたトミーに、ぴったりした服を着てたAを見て、胸大きいね、って言ってしまったことを説明する。説明、しながら落ち込んでいく。そして、あんまり悪いと思ってない。
ト「そりゃAも怒るだろ」
カ「…」
俺とAの仲じゃん、別に。と思ってしまっている自分がいて、死にそうなくらいイヤだ。むしろ褒めた、くらいに思ってて。頭の中ぐちゃぐちゃ。
ト「気になったの?でかいなって?」
カ「…死にたくなるからやめて!なんか出ちゃったの!」
ト「お前いつもそんなんじゃないのに、A相手だとさあ、なんなのマジで」
そうだ、俺はこんな人じゃない。人の外見や容姿について考えナシに口に出すなんて、一番やっちゃダメ。っていうか俺そんなヤツが一番嫌い。
なのに。
俺いま、なんで怒るの、って思ってる。
カ「…はぁ」
自分の部屋に入ってベッドに寝転がる。ため息は枕に吸い込まれて、大きなストロークで呼吸した。
コンコン
『先輩、あの』
暗く沈んだAの声に、慌てて起き上がる。返事をしながら扉を開けると、タオルを持ったAが、泣きそうな顔で立っていた。
カ「あ、」
『…動画、出るのに、ほっぺ叩いちゃってわたし、本当にごめんなさい、』
保冷剤がくるまれているタオルを、そっと手渡してくるAはしょんぼりして頭を下げた。ぴりぴり痛い頬を、ちらっと見てAが気まずそうな顔をする。
カ「…いや、俺のほうこそ、ごめんなさい」
するすると口からでた言葉は建前で、本当はAに優しく冷やしてもらいたいなあ、なんて思う。
どうしてか、なんて本当はもうわかっていて。独占欲というか。
Aを前にすると高校の時の俺になっちゃう。あの時、マックでフラれたときから時間が止まってる。むしろフラれたことはなかったみたいになってて。
つまり、Aは俺にとって特別で、逆もそうである、と思っているってこと。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます! (2019年9月23日 4時) (レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます!今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます!学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて2に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…!短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社長室 | 作成日時:2019年6月5日 11時