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カンタside
カ「…な、に言って、」
『…ごめん、』
季節は秋から冬に差し掛かろうとしていた。クリスマスの予定を立てようと思い、忙しいAに連絡をとって、駅前のマックで待ち合わせた。ここはAの通う予備校の近くで、よく二人で来ているところ。
マスクを取って、時計を確認したAは唐突に、別れたい、と小さな声でつぶやいた。
カ「…理由、は」
受験真っただ中のAにクリスマスの話なんて迷惑だったのだろうか、と問題を単純に見ようとする。事実、大学に入ってからは、俺の都合ばかりをおしつけて会っていた。でも、目の前のAの表情が、もっと複雑な話でその解決策はもうAしかわからないことを、示していて。
きっともう彼女のなかで、解決していて、その答えが、別れるってこと。
『ただわたしが、受験と恋愛を両立できなかっただけで、…本当に先輩には申し訳ないと思ってて、』
ごめんなさい、
辛そうに笑うAは、きれいな指先でホットコーヒーを抱えて、そっと口に運んだ。飲み終えて、ほ、と口をゆるませた彼女に根拠もなく、俺のせいで俺のために別れようとしている、と思って。口を開いて慌てて閉じた。
それに今気が付いたとして、なにになるんだろう。
俺のために別れると決めたAに、
Aのために別れを受け入れるべきなんじゃないか、って。
全部思い込みかもしれない、けど。シンプルに、彼氏の前で辛そうに笑うこの関係を終わらせてあげることが、お互いのためになるって思ったから、ただわかった、と告げて、Aを残してマックを出た俺は、間違いだったのだろうか。
つづく
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社長室(プロフ) - じゅんりさん» お気遣い本当にありがとうございました。更新は未定ですが、眠っている短編からアップしていこうと思っています、その時はよろしくお願いします。 (2020年1月8日 22時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - お気づきになったみたいで良かったです(^^)社長室さんの書く作品大好きなので、また作品上がるのを楽しみにしてます(^^)! (2020年1月7日 10時) (レス) id: a9d9714e3d (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» コメントありがとうございます。インスタには載せておりませんので無断転載になります。じゅんりさんのコメントでアカウントも把握することができました。ありがとうございます。放置ぎみになっていたところにわざわざコメントいただいて感謝です。出来る限り対処します (2020年1月6日 23時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - 社長室さん初コメ失礼します。インスタに、こちらの学パロ載せたりしてませんよね?無断転載されていると思います。アカウント名など、もしお知りになりたい場合はお教えします。私もいち書き手、いちファンとして許せないので不適切アカウントとして報告しておきますね (2020年1月3日 22時) (レス) id: 035108e004 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます!終わるとみせかけて終わりません、すみません!よろしければもう少しお付き合いください〜 (2019年5月28日 13時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社長室 | 作成日時:2019年3月25日 23時