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指導室や家庭科室の近くはあまり人が通らない。
『あ、たぶん佐藤先輩ファンですね』
ト「なにそれ」
『付き合ってるの?って二学期はいってもう二万回聞かれました』
ト「…んで、否定してちょっと傷ついてんの?お前」
『…正解!不登校寸前ですよもう〜』
きっとわたしが否定したのを聞いてやっぱりね、って走って帰っていたのであろう。こんなところまで追いかけてくるのだから、佐藤先輩の人気はすごい。
ト「でもカンタ、お前とプール行った、とか言ってたけど」
『はい!宿題終えたら行きたいってダメもとで言ったら、連れて行ってくれたんですよ!めっちゃ楽しかった〜、青春しちゃった、へっへっへ』
ト「それって付き合ってねえの?」
『こんな機会ないから、付き合ってる風で過ごしましたけど、佐藤先輩はなんか慣れてる感じでしたよ、照れとか無かったし。それにそもそも好きとか言われて無いし。』
ト「……、おーい、マジか」
『でもいいんです!ってかわたし楽しすぎて夜熱でて、寝込みました』
ト「…おう、そうか、」
『あ、わたしもう行かなきゃなんで!屋上きてくださいね!じゃ!』
予鈴がなって慌てて走るわたしを富永先輩は頭を抱えて、カンタ可哀想、って言ってたのなんか、もちろん聞こえなかった。
ト「体育祭実行委員だってよ、」
富永先輩が屋上に来てくれるようになったら、佐藤先輩がまったく姿を現さなくなった。体育祭の準備らしい。あと部活。夏の大会で三年生は引退されたので、二年の佐藤先輩はよく顧問の先生に呼び出されていた。
『えー、…全然顔見てない、』
ト「・・・・」ずごごご
パックのカフェオレのストローを咥える富永先輩は、複雑そうな表情でわたしを見てから空を見上げた。
ト「連絡したり、会いに行ったりできるだろ」
『でも、さとーせんぱい忙しいもん』
ト「ああ゛? 同じ高校なんだから、なんか理由つけて会えるだろーが」
『あ、そっかー、富永先輩は会えないもんねえ!』
夏祭りで見た、小柄な女性を思い出してにやける。寂しいよねえ、先輩だってねえ。
ト「…そういう意味じゃねーよ!・・・はあ、もう知らん、」
ぐしゃ、ってパックをつぶして、スマホをいじり始めてしまった先輩に、ちぇ、って思いながらわたしもスマホを持つ。カメラロールにたくさん残る夏の佐藤先輩を見て、ちいさくため息をはいた。
つづく
ねつ造多くて無理な人には申し訳ない
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社長室(プロフ) - じゅんりさん» お気遣い本当にありがとうございました。更新は未定ですが、眠っている短編からアップしていこうと思っています、その時はよろしくお願いします。 (2020年1月8日 22時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - お気づきになったみたいで良かったです(^^)社長室さんの書く作品大好きなので、また作品上がるのを楽しみにしてます(^^)! (2020年1月7日 10時) (レス) id: a9d9714e3d (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» コメントありがとうございます。インスタには載せておりませんので無断転載になります。じゅんりさんのコメントでアカウントも把握することができました。ありがとうございます。放置ぎみになっていたところにわざわざコメントいただいて感謝です。出来る限り対処します (2020年1月6日 23時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - 社長室さん初コメ失礼します。インスタに、こちらの学パロ載せたりしてませんよね?無断転載されていると思います。アカウント名など、もしお知りになりたい場合はお教えします。私もいち書き手、いちファンとして許せないので不適切アカウントとして報告しておきますね (2020年1月3日 22時) (レス) id: 035108e004 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます!終わるとみせかけて終わりません、すみません!よろしければもう少しお付き合いください〜 (2019年5月28日 13時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社長室 | 作成日時:2019年3月25日 23時