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『…、見ないで、』
カ「無理でしょ。…ねー、女子って毎年水着買うの?」
『知らないよ』
カ「…ふうん。…ねえ、俺ちゃんと気付けたよ」
『なにを?』
カ「Aが無理して笑ってること」
『…べつに…無理、してなんか、』
カ「…うん?」
『…去年はかわいかった、って、』
カ「うん。」
『今日はかわいくない、みたいに、言う、から、』
カ「なんでそうなんの!」
『…』
肩ひもを直しながら、自分の体を見る。どれがいいのかわからなくて、いろいろ考えて買った水着。なんで、って言われると明確な理由は、無い気がする。
なんで、こんなに自信がないのか。
カ「わかった、悪かったごめんなさい、」
先輩は申し訳なさそうに苦笑して、髪の毛をかき上げた。今年は特に忙しくて大事な時期である先輩を連れ出して、遊びに来ているのに、
こんな顔をさせて、なにしてるんだろう、わたし。
『こちらこそ、うじうじしてごめんなさい!もう、行きましょ、』
浅い波打ち際で勢いよく立ち上がると、座ったままの先輩に手を差し伸べる。
『いこ!』
ん、ってパーにした手を掴むように促すと、先輩はまぶしそうに笑って、雑誌の表紙かよ、って呟いた。そっぽを向いた、先輩の耳が赤い。
『え、そんな可愛い?』
カ「うん、アングルがね、ぽかった」
『へー』
かわいいってところを否定されなくて普通に照れる。
先輩はわたしの手を掴んで立ち上がると、チューブスライダーいこ、って言って指先を絡めてくる。
カ「変なやつに声かけられないように、俺からはなれないこと」
『はいはい』
カ「ハイは一回!」
『はい!』
顔を見合わせて笑ったわたしたちは、遊びまくった。去年よりもずっと、プールを楽しめたと思う。お付き合いして目に見えて変わったところなんか、ほとんどないけど、プールの人混みのなかでも、わたしは一度も、先輩の姿を見逃さなかった。
おわり
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社長室(プロフ) - じゅんりさん» お気遣い本当にありがとうございました。更新は未定ですが、眠っている短編からアップしていこうと思っています、その時はよろしくお願いします。 (2020年1月8日 22時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - お気づきになったみたいで良かったです(^^)社長室さんの書く作品大好きなので、また作品上がるのを楽しみにしてます(^^)! (2020年1月7日 10時) (レス) id: a9d9714e3d (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» コメントありがとうございます。インスタには載せておりませんので無断転載になります。じゅんりさんのコメントでアカウントも把握することができました。ありがとうございます。放置ぎみになっていたところにわざわざコメントいただいて感謝です。出来る限り対処します (2020年1月6日 23時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - 社長室さん初コメ失礼します。インスタに、こちらの学パロ載せたりしてませんよね?無断転載されていると思います。アカウント名など、もしお知りになりたい場合はお教えします。私もいち書き手、いちファンとして許せないので不適切アカウントとして報告しておきますね (2020年1月3日 22時) (レス) id: 035108e004 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます!終わるとみせかけて終わりません、すみません!よろしければもう少しお付き合いください〜 (2019年5月28日 13時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社長室 | 作成日時:2019年3月25日 23時