氷帝の1年マネージャーs［庭球］ (ページ3)

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きっかけページ3

水下『私達の平穏壊すのやめてくださいよ〜』
忍「そんなこと言われてもなぁ、部長命令やから堪忍してや」
水下『テニスは嫌です。相撲なら考えた』
忍「そんな嫌?」
水下『…私はともかくとして、瑠璃子は無理ですよ。私も嫌ですけどね!!!修羅場が嫌でこっちに来たのに余計な修羅場を持ってくんじゃねえ!!』
忍「図書室では?」
水下『お静かに!』

はあ、はあと肩で息をしている女子生徒は髪を逆立たせながら全身で”嫌“を表現していた。猫のようで何となく可愛い。そもそも、忍足侑士はこの女の子を気に入っていた。真面目に図書委員の仕事をする姿と、貸し出しをする時の笑顔に好感を持っていた。

忍「昨日の女の子、あんま見たことあらへんけど」
水下『瑠璃子は水曜日と相談室担当ですから』
忍「相談室?」
水下『あそこ寄付された本置きすぎて物置ですからね。あそこの整理任されてます。今日の放課後とかいますよ』
忍「そんなべらべら話して良いんか?マネージャー嫌なんやろ」
水下『私は心理戦担当じゃないんで。本気で私達マネージャーにしたいなら、その時に私は動きます』

ニコッと笑顔で言う女子生徒に、忍足は今までの笑顔は目が笑ってなかったことに気づく。少なくとも、自分が思っていた普通の女の子ではないようだ。

忍「名前教えてくれへん?」
水下『水下雪乃ですよ、人気者テニス部員の忍足侑士先輩?』

因みにこの時の図書室の気温は氷点下であった。美形と美形の戦いほど怖いものはない。

水下(瑠璃子!マジで笑顔で本当のこと言い続ければ良いのよね!?この眼鏡絶対に心理戦得意でしょ何でコイツなのよ瑠璃子のとこ行け!!)

因みに水下雪乃は心理戦などはまったく得意ではない。むしろ嫌いだ。考えなしではないが本能で生きているところが多い。人の心の機微に疎く、忍足が何を考えているかもまったく分かっていない。数字や言葉で表されないと分からないのだ。理数系教科は毎回100点、文系は赤点の女である。

水下『あ、今日の練習は念入りにストレッチしてくださいね』
忍「どうしたんいきなり」
水下『いえ、何でも』

心の機微に疎い代わりに与えられたのは、人の体を細部まで理解する力。筋肉の動き、骨、心ではなく心臓のことなら水下にも分かる。人体のことには誰よりも詳しいのが水下雪乃の才能である

水下『それじゃ、昼休みも終わりです。後は放課後お願いします』