金平糖のような*二粒目[忍たま] (ページ7)

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お弁当を渡し終わった…と思ったらまさかのしんべヱくん用の予備とは別に、一つお弁当が余る事態に。それを見て竹谷くんがあ、と声を上げる。

「すみません、それうちの後輩かもしれません」
「じゃあ預けちゃっていい？」
「はい、すみませんほんと…」
「気にしないで。あ、食満くん、これしんべヱくんに」

そういってお弁当を手渡すと食満くんは首を傾げた。

「？それならもうもらったぞ？」
「きっとおなかすかしてちがう人のお弁当食べちゃうんじゃないかって」
「それは…正直助かる」

そう言って自分の荷物にお弁当を追加する食満くん…を見ていると、軽くなったはずの籠に重みが加わった。何だろうと思い中をのぞくとそこにはヘビがいた。色的に毒蛇…にいさんに一度注意喚起されたし間違いない。毒蛇だ。多分すぐ近くにある木から飛び乗ったのだろう。いやに冷静な頭の中とは裏腹にさっと血の気が引いていくのがわかる。そして毒蛇は私の腕をするすると登り始めた。

「ヒィ、あ、やだ…タスケテ…」

じわじわと涙が溢れてくる。それがこぼれそうになった瞬間のことだ。

「ジュンコ！そこにいたのか！」

という声とガサゴソと草むらから人影。ジュンコと呼ばれた毒蛇は一目散にそちらへと行ってくれた。助かった…。…ん？え？名前？毒蛇に？

「駄目じゃないかジュンコ、勝手にいなくなって…」
「シャー」

嘘じゃんめちゃ仲良さげ…。と、動揺していると後ろから竹谷君。

「重ね重ねすみません。あれがさっき話してた後輩なんです」
「え、あ～、うん。で、あれ毒蛇だよね？」
「あれ孫兵…あいつ伊賀崎孫兵っていうんですけど、ジュンコの飼い主です。毒虫が好きなんです」

う～ん、理解の範疇を超えてしまったぞ。まだ武器に名前を付けるほうが理解できた。理解したいかは別として。

「A、蛇とか苦手だったんだな」
「食満くん…あのこが毒を持っているって知ってたからね。持ってない蛇とか虫なら平気だよ。私田舎育ちだし」

まあほとんどにいさんのおかげだよなあ蟲とかの知識は。なんて考えていると食満くんがじっと私を見ていた。

「どうしたの？」
「ん、いや、なんでもない」
「ふうん。変なの…作業止めてごめんね。私戻るよ」

籠を持ち直すと、平太をはじめとして一年生が駆け寄ってきた。笑顔でお弁当ありがとうございますなんて言うもんだから、可愛くてしょうがなくて、抱きしめようかと思ったけどさすがに辞めておいた。