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朝、いつも通りの時間帯。嘘、全然日の出の気配も感じられないほど暗い。緊張で早くに目が覚めてしまった。
「……着替えるかぁ」
布団をしまってさあ着替えるぞと寝間着の帯に手をかけたときだった。
「あら、Aちゃん？起きてるのかしら」
シナ先生(若い方)の声だ。慌てて扉を開き、挨拶をする
「シナ先生おはようございます」
「おはよう、随分と早いのね。これ、作業しやすいと思って持ってきたの。事務員用の予備だけどね」
そう言って差し出されたのは小松田さんと同じ色の忍び装束だった。
「え、いいんですか？」
「もちろんよ。着替え終わったら私のところにいらっしゃい。頭巾は初めてでしょう？やってあげるわ」
「ありがとうございます！」
貸してもらった着物に袖を通す。なんか変な感じ。あ、でも初めて仲居用の着物を着たときと感覚は似てるかな。
そうだ、髪も結ったほうがいいのかな？仲居やってたときは下の方でゆるく結ぶ感じだったけど、みんなみたいに上で…？いや、慣れない髪型は崩れそうだし、普通に首元で結えるのでいいか。
「シナ先生、できました」
「うん…ちゃんと着れてるわね。はい、じゃあそっち向いて」
そう言ってシナ先生は私の後ろに立つと、素早く頭に頭巾を巻いてくれる。
「苦しくない？」
「はい、ありがとうございます！…でも、くすぐったいですね」
「ふふふ、すぐに慣れるわよ。じゃ、作業に入りましょう！Aちゃんは食堂に行ってもらえる？おばちゃんが手伝ってほしいそうなの。おにぎりは一個ずつしか作れないからって。いい？」
「分かりました！早速行ってきます！」
よし、頑張ってお手伝いするぞー！！いざ食堂！
「おばちゃん、おはようございます！」
「おはようAちゃん、早速おにぎり作り、お願いね」
「はい！」
おばちゃんの隣に並んでおにぎりを握り始める。私が一個作る間におばちゃんは二つ…。遅いのかな、私…。いや、そんなことよりもさあ。
「うおあっちい？！」
「あら、中のほうはまだ熱かったかしら。大丈夫？」
「あはは、油断してました…」
危うくごはん落としかけた。この人数だ。ちょっとのごはんも無駄にはできないぞ、私！
「あ、しんべヱくんも園田村にいるなら、ちょっと多めに作ったほうがいいんですかね？」
「そうねえ。多めに作って食満くんあたりに預けましょう」
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作者名：ゆう | 作成日時：2020年12月29日 14時
