戦の知らせ ページ1
夜、忍術学園に生徒が二人、駆け込んできた。一年は組だ。日向先生もついていることから察するに、選抜チームと合流を果たしたらしい。三人の周りに私含め、他の生徒や先生が集まってきた。
「帰ってきたか。報告を」
学園長がそう言うと、は組の二人が口々にバラバラに報告しようとする。それを日向先生が収めると、代表で報告をした。
「オーマガトキとタソガレドキは、手を結んでいました。密かに売った村々から金品を搾り取るつもりでしょう」
「ふむ」
「それから喜三太ですが、オーマガトキの城に捕まっているとの情報が。そちらは厚着先生、滝夜叉丸、左門に立花と利吉くんが合流します」
「ご苦労。さて、みなのもの！我々はこれからふた手に別れて行動する！忍たまは園田村に向かい、タソガレドキから村を守りなさい！くのたまたちはタソガレドキの陣に潜り込み制札を貰いに行くぞ！」
学園長の口から出た言葉は、私には信じがたい言葉だった。敵陣に潜り込むなんてそんなまさか、しかも守るって、まるで攻め込まれるみたいな言い方。皆は、特に上級生は待ってましたと言わんばかりに返事をする。改めて、生きる世界が違うんだってことを実感した。
「あの、学園長先生、私はどうすれば…」
「……考えとらんかった」
嘘でしょ？！周りのみんなも驚きのあまり転げてる。
「うーむ…忍術学園総出となると…学園内に残すわけにもいかんしのう。…そうじゃー！おまえさんもタソガレドキの方へ同行しなさーい！」
やっぱそうなるよねー！！戦なんて関わることないと思ってたけど、腹をくくるしかない！
「分かりました。全力でお手伝いします！」
「よろしい！では明日の明朝、準備ができ次第出発するぞ！」
と、いうわけで一度解散。みんなぞろぞろと自室へ戻っていく。私も早めに寝て、明日に備えなきゃ。そう思って歩き出すと、平太が駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん！だ、大丈夫なの？本当に行くの？」
「もちろん！平太たちも頑張るんだもん。私だって頑張らなきゃ！」
ぐっと拳を作って笑顔を見せても、平太はどことなく不安そう。私だって不安だ。平太は気がゆるくなったタソガレドキ陣ではなく、戦地になる園田村へ向かう。平太のことだけじゃなく、他のみんなのことももちろん心配。けど！ここで表情を崩すほど私は、ここにいる人たちは弱くない！
「大丈夫！平太も、みんなも、絶対！無事に帰ってこれる！確信してる！」
「…！うん、ぼくもがんばる！」
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作者名：ゆう | 作成日時：2020年12月29日 14時
