飴色の青春 2 キャンジャニ (ページ27)

今日:6 hit、昨日:22 hit、合計:26,903 hit

・亮side ページ27

倉子ちゃんが、お小遣いをくれた。
いっぱい小銭をくれて、だけど一緒に遊んではくれないみたい。ゲームは好きやけど、お姉ちゃんを待ってたい。
…でも、倉子ちゃんもお姉ちゃんと2人で遊びたいやんな…

今日初めてあったお姉ちゃんのお友達は、綺麗なひとだけどちょっと怖い人だと思った。
だけど、きっとそれも亮のせい。
亮が1人で過ごせたら、倉子ちゃんはお姉ちゃんと遊べたのに、きっと怒ってるんやろな…

だから、できるだけ、離れたゲームで遊ぼうと思った。

ドアからでた先にもゲームがあるから、ちょっと出てみることにした。

アスファルトに平置きされた筐体が並ぶ先の高架下、抜けた先の路地、面白そうなゲームは見当たらないけれど、なんとなく知らない世界のようで、少しワクワクもする。

背後からバンッと大きな音がしてビクッと振り返る。室外機から聞こえた音みたい。
なんや…。ホッと胸を撫で下ろす。けど、その音で跳ね上がった鼓動を感じて急に不安になる。

１回戻った方がええかも…

…あれ、これ…どうやって戻るん？

振り向くと同じような路地。少し不安になって来た方へ戻る。あれ、この道はどっちやっけ？確信を持てないまままた角を曲がって、曲がって…知ってる景色が見当たらない。

自分のいる場所がわからなくなって、するとそこは急に恐ろしい迷路のように感じた。室外機のゴウゴウという音が絶えず鳴る中で時折通る列車の音すらさっきまでとは違って聞こえる。まるでなんかの足音みたい…。

「お姉ちゃん…倉子ちゃん…」

無駄とわかっていても頼りになる人の名前を呼ばずにはいられない。
だけど、今そこにいない人の名前を口にしてしまった途端不安がまた大きく煽ってくるようで…

「お、お姉ちゃ〜ん …？」

声が半泣きになってくる。もしかしたら、あの角を曲がったら…

お姉ちゃんは、当たり前だけどそこには居なかった。代わりに居たのは5人程の学生服。着崩したブレザー、耳に光る金色のピアス、茶色いプリン頭。白い蒸気を上げる室外機の前に屯する顔が揃ってこちらを見る。