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村「よっしゃ、じゃあ亮と太鼓の達人しよ！」
「私強いからフルボッコにしてまうかも。」
村「…あの子意外と負けず嫌いやから泣くかもな…」
そんな話をしながらゲーセンの中を見渡して、小さな姿を探す。
探してる、けど…
いな…い…？
村「りょう？」
心臓の音が、妙に大きく聞こえた。
すみっこの筐体の影にも、マリカーの座席にも、居ない。プリクラやルイージマンションのカーテンの下のスニーカーも全部見た。どこにも亮くんは居ない。
「村子ちゃん…もしかして、さぁ…」
嫌な予感がした。
駅の方面の路地に面した自動ドアをそっと指さす。
言わんとするところを察した村子ちゃんの表情が凍るのが、血の気が引いていくのが、手に取るようにわかった。
自動ドアを出た先は少し路地が続き、軽く入り組んだ道に沿ってガチャやクレーンゲームが幾つか並んでいる。初めて来たら、高確率で道に迷う。それに、商店街の大通りを1本抜ければそこは繁華街。お世辞にも治安がいいとは言えない場所で、不良や酔っ払いが屯してる場所もある。
村子ちゃんの目が泳ぐ。こんな場所、村子ちゃんだって来たことないハズ。私だって、詳しくはない。
だけど…
「村子ちゃん、私、この駅前、お兄ちゃんと冒険したことある。路地も迷えへんと思う。走って、見て回るから、村子ちゃんはモールの方探してみて。」
村「それやったら一緒に…！」
「こっちにおれへんかもしれへん！モールの迷子案内、かけてもらったら中におったらすぐ会える。けど、こっちにおったら…。その、とにかく手分けした方がいい。ほら、私でかいし、目つき悪いし、大丈夫やから！」
一方的に言って、村子ちゃんの返事を待たずに駆け出した。
もしも、こっちに来てたとしたら。いや、そうじゃなくても。彼とはぐれたのは、ひとりぼっちにさせた私のせいだ。私が、なんとかしないと…！
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作者名：らむ倉 | 作成日時：2020年10月23日 23時
