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疲れたな…
自販機でコーヒーを買って待っていると戻ってきた村子ちゃん。
「亮くん、お小遣いあげたから。ゲームしてると思う。」
村「え、ごめん、ありがとう。いくら？」
「ええよ別に。亮くんにあげたんやし。お菓子奢ったげても私が相手やったら嬉しないやろし、今日かて楽しないやろし…あれくらい好きに使ったらええねん。」
村「せやけど…」
「えーて。親のお小遣いちゃうし。私のバイト代やねんから。」
村「んー…じゃあ、お言葉に甘るな。ありがとう倉子。こっちこそ、ごめんな？亮人見知りやねん。悪い子やないねんけど…倉子かて楽しないやんな…」
村子ちゃんはまた眉を下げて申し訳なさそうな顔。
今朝もそうやったやん。私に気を遣ってるん？それで、そんな悲しい顔するん？別にええよて言うたやん。文句も言うてへんやん。亮くんとおると笑うのに、私の顔みてそんなんなるのはなんで？
モヤモヤしながら、心で問いながら、答えだって分かってる。
楽しくない。つまらない。亮くんのせいで。村子ちゃんが連れてきた、亮くんのせいで。
納得して追いやってる考えだって、きっと顔に出てしまってる。口に出さずに自分も騙して、だけど中途半端にむくれてる、とか、どんな最悪な奴？
それに、今日初めて村子ちゃんと2人きりで喋って分かった。村子ちゃんを独り占めする予定やったのが、亮くんに取られたんに、拗ねてたんかもしれへん。
くだらない。こんな私、私が一番嫌いな私やん。
黙ったままの私の顔を、村子ちゃんは少し困ったみたいに「倉子…？」と覗き込む。
ホントは繊細で優しい村子ちゃん。こんなに気を遣わせてる私って、なに？
久しぶりの自己嫌悪で、ちょっと泣きそうになったのを飲み込んで笑ってみる。
時間は午後1時。まだ半日。どうしたら、みんなホントの笑顔になれるだろうか。
「ごめん。楽しい、って言うたら嘘かもやけど、でも…うん…」
「私こんなんやから難しいかもやけど、亮くんと、仲良くなりたい…かも…」
村子ちゃんは大きな目をぱちくりさせて、それから花が咲いたようにニカーーっと笑った。
村「せやな！亮もそう思ってると思うで！」
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作者名：らむ倉 | 作成日時：2020年10月23日 23時
